キエフで交戦の後、骨組みだけになった車両(ロイター)
マルカロワ駐米ウクライナ大使は2月28日、ロシア軍が同日、ウクライナで殺傷能力の高い燃料気化爆弾を使用したと非難した。
燃料気化爆弾は、特殊な燃料を広範囲に噴霧させて発火し、爆発による衝撃波と熱風で攻撃する兵器。通常の爆弾よりも長時間燃焼し、超高温を発生させて周囲の酸素を奪う特徴から「真空爆弾」とも呼ばれる。人間を酸欠にさせ、シェルターに隠れた人々が殺傷される恐れもある。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、ロシアが1999年に南部チェチェン共和国でも燃料気化爆弾を使ったとしている。HRWはこれまでに、ロシア軍が非人道的な兵器として知られるクラスター(集束)弾を使用したとも発表している。
軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は、クラスター弾について「砲弾の中に数百の小弾が入っていて、着弾の前にフタがパカッと開き、それをまくと爆発するようになっています」と説明した。ロシア軍は2015年に軍事介入したシリア紛争でもクラスター弾を使用しているといい「(ロシア軍にとって)珍しいものではありません」と言及。「大きな爆弾に比べて集中的な威力はないが、面を制圧するものなので用途が違うという認識です」と話した。
サキ米大統領報道官は記者会見で、ロシアがこれらの兵器を使ったかどうかは確認していないとした上で「本当なら戦争犯罪になる可能性がある」と指摘した。
今後ウクライナの首都・キエフなどで総攻撃が始まることが予想されるが、黒井氏は「やり方によっては大変な犠牲者が出ます。ミサイル、ロケット弾を次々と撃ち込んだり、あるいは空爆をしたりということになれば、町には民間の方がたくさん残っているので大変なことになる」と危機感を示した。
報知新聞社