プーチン大統領の思惑は…?
ウクライナのゼレンスキー大統領が、「ロシア軍により市民が大量虐殺された」と強く非難する一方、ロシア側は「フェイクニュースだ」と反発。4月5日、緊急会合が行われる国連の安全保障理事会にロシアが“殺害していないとする証拠”を提出する模様です。
拓殖大学 名越健郎教授
果たして“戦争終結”はいつになるのか、ロシアは“5月9日”に勝利宣言するのでしょうか。背景にある「3つの事情」について、元・時事通信モスクワ支局長で拓殖大学・教授の名越健郎(なごし・けんろう)さんが解説します。
“大量虐殺”の背景は?戦争犯罪は裁けるのか?
“大量虐殺”についてのやり取り
Q.ブチャの映像を見ると、民間人の方が無差別に攻撃されている。これを見た時に思ったのが、末端のロシア兵は、町に残っている人たちが本当にナチスだと思って殺害しているのでしょうか?
(拓殖大学 名越健郎教授)
「そこのところは分からないですけれど、ロシア軍というのは狂気があって、例えばシリアでもこういう戦争犯罪をやっています。先の大戦でも1945年のドイツ・ベルリン攻略とか、日ソ共同宣言を破棄したときの満州や樺太南部でも、こういう悲惨な光景が見られたわけです。ロシア軍というのは、そういうルールを守らないところもあると思うんです。ロシアが名誉と信頼を回復するのには、70年~100年単位でかかるのではないかという気がします」
Q.それは上層部からの指揮命令で「民間人も無差別に攻撃しろ」と言われている可能性があるということですか?
(名越教授)
「それとやはり、退却する時は後ろから狙われるという点で非常にリスクが伴うわけですが、それを意識してこういう残虐な行為を行った可能性もあります。そのあたりはこれから検証が必要だと思います」
Q.ロシアが言う「フェイクニュース」だと証明するのは大変難しいと思うのですが、いかがですか?
(名越教授)
「おっしゃる通りで、この21世紀の情報化社会で、これだけ明確な証拠があります。これは国際調査チームが現地で調べると思いますが、それを覆すということはとてもできないので、ロシアの方が『フェイクニュース』をこれから作っていくと思います」