米国ICEが拘束した18歳少年「収容施設は地獄だった」 トランプ政権の移民取り締まり

トランプ政権下で、非正規滞在の移民に対する大規模な取り締まりが進められています。こうした中、米移民税関捜査局(ICE)によって一時拘束された18歳のブラジル人少年が、釈放後、過酷な収容施設での経験を詳細に語り、注目を集めています。彼の証言は、米国ICEの移民拘束の実態と、トランプ政権下の移民政策の現実を浮き彫りにしています。

拘束の背景と少年が語る過酷な収容施設の実態

拘束されたのは、マサチューセッツ州に住む高校生、マルセロ・ゴメス・ダ・シルバさん(18)です。シルバさんは5月31日、バレーボール部の練習後にICEに拘束されました。当局は当時、シルバさんの父親を捜査していたといいます。担当弁護士によると、シルバさんは7歳のときに父親に連れられて、祖国ブラジルから合法的にアメリカへ入国しました。しかし、当時保有していた学生ビザはすでに期限が切れていたという状況でした。

釈放後、報道陣に囲まれ証言する米国ICEに拘束された18歳ブラジル人少年マルセロ・ゴメス・ダ・シルバさん釈放後、報道陣に囲まれ証言する米国ICEに拘束された18歳ブラジル人少年マルセロ・ゴメス・ダ・シルバさん

6月6日、保釈金を支払って釈放されたシルバさんは、報道陣を前にしてこのように語りました。「アメリカに移住したとき、私はまだ7歳でした。そのとき、ビザの制度なんてまったくわかっていませんでした」。続けて、マサチューセッツ州バーリントンにある移民収容施設での経験を語りました。

釈放された少年が語る「地獄」のような収容施設環境

シルバさんは、米国ICEの収容施設環境について「施設は、とてもひどいところでした。施設に到着してから、私はずっと手錠をかけられていたんです。私が収容された小さな部屋には、40人ほどの男性がいました」と証言しました。

さらに彼は、「施設内では、まるで私が存在していないような扱いを受けていました。6日間、シャワーさえ浴びられなかった。本当になにもできなかったんです。あの施設には、誰も収容されるべきではない。劣悪な環境だからです」と訴えました。

収容されていた他の人々についても言及し、「収容されていた人たちは、みんな仕事を持っていました。職場で拘束されたんです。それぞれ、家族や家、大切な子どもがいたのに……」と、トランプ政権による移民取り締まりの現実が、生活を営む人々にも及んでいることを示唆しました。

シルバさんは収容中、代理人を通して、施設の詳しい状況を「ベッドも充分な食べ物もない」「ずっとクラッカーを食べている」と伝えていたといいます。

マルセロさんの証言は、米国ICEによる移民拘束が、時に未成年に近い年齢の者にも適用され、その収容施設環境が極めて劣悪であることを示しています。多くの拘束者が職を持ち、家族を養っている現実も浮き彫りとなり、トランプ政権下の移民取り締まりが生む人道的側面への懸念が高まっています。

[参照元] BuzzFeed Japan / Yahoo News Japan