「KAZU I」を移動させる予定だった作業台船(右)(24日午前11時、北海道斜里町で)=原中直樹撮影
(写真:読売新聞)
北海道・知床半島沖で観光船「KAZU I(カズワン)」(乗客乗員26人)が沈没した事故で、第1管区海上保安本部は24日、カズワンを海中につった状態で移動させていた専門業者の作業台船からカズワンが水深182メートルの海底に落下したことを明らかにした。
【動画】海面近くまで引き上げられ、うっすらと白く見えるカズワン
作業台船によって海面近くにつり上げられた観光船「KAZU I(カズワン)」(23日午後3時38分、北海道斜里町沖で、読売機から)=大石健登撮影
1管によると、24日午前8~10時頃、ウトロ漁港(北海道斜里町)の西約11キロの海域で落下したとみられる。同日午前10時20分に「カズワンを落とした」と1管に連絡が入った。水中カメラを搭載した無人潜水機で確認したところ、船底を下にした状態で沈んでいて、原形をとどめ、大きな損傷は見当たらないという。
作業台船「海進」を運航しているのは、海上保安庁と契約した「日本サルヴェージ」。23日に水深約115メートルの沈没地点からカズワンをワイヤでつり上げ、深さ約20メートルの海中にカズワンをつったまま、水深の浅い斜里町沖約7キロの海域に向かっていた。同海域で、いかりを下ろして海進の船上にカズワンを引き揚げる予定だった。
落下したカズワンは、深海に潜る特殊技術「飽和潜水」で再びつり上げられる見通しだ。飽和潜水では、潜水士は作業台船の加圧室で深海の水圧に体を適応させた後、水中エレベーターで海底に下りて作業する。
一方、1管などは24日も北方領土・国後島周辺を含めた海域で行方不明者12人の捜索を続けているが、有力な手がかりは見つかっていない。