「ALPSを通してもストロンチウムを含む放射性物質の約6割が除去されず海に放出される」は誤り【ファクトチェック】

image

誤った情報が広まっていましたが、正しい情報をお伝えします。投稿された内容によると、「ALPSを通してもストロンチウムを含む放射性物質の約6割が除去されず海に放出される」という主張がされていますが、これは誤りです。実際には、ALPSはトリチウム以外の放射性物質も安全基準を満たすまで除去することができます。ALPSで処理された後、基準値を上回っている場合には二次処理を行い、基準を下回る処理水のみが海洋に放出されるのです。

検証対象

image

拡散されたツイートによると、「ALPSを通してもストロンチウムを含む放射性物質の約6割が除去されず海に放出される」という主張が拡散されました。この投稿は2023年8月29日時点で5500以上リツイートされ、表示回数は128万回以上にもなっています。

検証過程

image

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、この投稿が引用しているTBSの「報道特集」を確認しました。番組では、ALPS処理水について「ALPSはトリチウム以外の放射性物質、例えばセシウムやストロンチウムなど、ほとんどを取り除くことができる」と説明されており、「課題もある」として東京電力リスクコミュニケーターの高橋邦明氏へのインタビューが行われました。

番組では、タンク内の処理水について「一度はALPSで浄化処理をしたものの、7割近くはトリチウム以外の放射性物質も取り除けず、排出基準値を上回っている」と説明された後に、高橋氏の発言があります。

高橋氏は、「約134万トンの水を保管していますが、そのうち約66%が基準値を上回る水です」と述べています。

拡散されている情報は、この部分をもとに「ALPSを通してもストロンチウムを含む放射性物質の約6割が除去されず海に放出される」と主張しているようですが、実際には高橋氏の発言に続きがあります。タンク内で基準値を上回る処理水について再処理の話題が出た際、高橋氏は次のように説明しています。

「ALPSの設備は基準値以下に取り除くことができる性能があると確認しています。現在、基準値を上回っているものでも、再処理を行えば基準値以下にすることは可能です」

つまり、一度は処理を行いましたが基準値以下に下げられなかった処理水については、再処理が計画に含まれています(経産省資料)。したがって、拡散されている情報のように基準値を超えたまま海洋に放出されることはありません。

この記事の本文は日本ニュース24時間でご覧いただけます。

情報元リンク: ニュースヤフー