安倍晋三首相が6日、広島市原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)で述べたあいさつの全文は以下の通り。
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今から74年前の今日、原子爆弾により、十数万ともいわれる貴い命が失われました。街は焦土と化し、人々の夢や明るい未来が容赦なく奪われました。一命をとりとめた方々にも、筆舌に尽くし難い苦難の日々をもたらしました。
原子爆弾の犠牲となられた数多くの方々の御霊(みたま)に対し、謹んで、哀悼の誠をささげます。
そして、いまなお被爆の後遺症に苦しまれている方々に、心からお見舞いを申し上げます。
核兵器によってもたらされた広島と長崎の悲劇を決して繰り返してはなりません。唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」の実現に向けた努力をたゆまず続けること。これは、令和の時代においても、変わることのないわが国の使命です。新しい時代を平和で希望に満ちあふれた時代としなければなりません。
近年、世界的に安全保障環境は巌しさを増し、核軍縮をめぐっては各国の立場の隔たりが拡大しています。
わが国は、「核兵器のない世界」の実現に向け、非核三原則を堅持しつつ、被爆の悲惨な実相への理解を促進してまいります。核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努め、双方の協力を得ながら対話を粘り強く促し、国際社会の取り組みを主導していく決意です。
明年は、核拡散防止条約(NPT)発効50周年という節目の年を迎え、5年に一度のNPT運用検討会議が開催されます。この会議において、意義ある成果を生み出すために、一昨年、ここ広島から始まった核軍縮に関する「賢人会議」の提言などを十分踏まえながら、各国に積極的に働きかけていく決意です。
私たちには、唯一の戦争被爆国として、核兵器の非人道性を、世代や国境を越えて伝え続ける務めがあります。