清潔さと秩序に感銘を受けたリトアニア駐日大使夫人の日本体験

オーレリウス・ジーカス駐日リトアニア大使のクリスティーナ夫人が、産経新聞のインタビューで日本滞在中の感銘を語りました。彼女は日本人の秩序や清潔さを維持する姿勢に心を打たれ、また、四季を通じて自然を愛でる日本人の感性に感銘を受けました。

目を開かれた日本の驚き

日本の魅力について彼女は言います。「日本は古い伝統を現代のものと組み合わせて維持している点が素晴らしいですね。1億2500万人が共に暮らしている中で保たれる秩序、清潔さを維持する心掛け、さまざまな宗教が共存している点、どれにも驚かされるし、不思議にさえ思う。例を挙げると、高層ビルの間に点在する居心地の良い寺院、満員電車の中の静寂さ、ごみ箱がないのに美しい公共の場など。生活面では、玄関で外履きを脱いで、室内用のスリッパを履き、お手洗いではまた、別のスリッパに履き替えます…」と。

また、日本人のきちょうめんさや礼儀正しさにも感銘を受けています。「日本人のきちょうめんさ、礼儀正しさには驚かされます。礼儀正しさは日本人に対する最初の印象です。公共交通機関の車内でも、レストランでも、店頭でも皆がお辞儀をすることに社会の調和を感じます。しばらく日本に住んでいると、知らず知らずのうちに私自身もお辞儀をし始め、全てに感謝するようになった。やがてリトアニアへ帰国したら、自然とお辞儀をしたり、お礼を言ったりすると思います」と述べています。

驚くべき自然への関わり

彼女は日本人と自然の関わり方についても語りました。「桜をはじめとする自然などあらゆるものを称賛できる日本人の姿勢が好きです。日本では1年を通じて四季が移り変わり、日本人は桜や咲き誇る菖蒲、アジサイ、藤、紅葉などをめでるため旅行を計画する。慌ただしく、常に勤勉でいることが求められる日本社会の中で、日本人はそうして自ら時間を見つけて立ち止まり、つかの間の休息を楽しんでいるように映ります」と述べました。

日本固有の文化についても彼女は興味を持っています。「日本には生け花、歌舞伎、茶道、墨絵など、誇り高き伝統文化、芸術がたくさんあり、全世界から称賛されています。私は全てに魅了されます。生け花講座へ参加してみたこともある。生け花講座では、自然と花と対話している自分がいました。全ての動きに何かしらの意味が込められている茶道や歌舞伎など、機会があれば、積極的に他の日本文化について学ぶよう心掛けています」と語りました。

都会の喧騒から離れる小さな町

彼女が好きな日本の町についても聞かれました。「日本国内を旅行するのは大好きで、それぞれの町が持つ独特の雰囲気に魅了されます。京都では長い歴史、立派な庭園、大切に保存されている歴史的建造物を楽しむことができる。鎌倉の寺院では、東京からさほど遠くないにも関わらず、海辺の景色を楽しむこともできます。暖かい季節には、家族で訪れます。小さな町を旅行するのが大好きで、家族と都会の喧騒から離れ、心を休めるため、小さな町に行きます。雑音が少なく、自然豊かな場所には温泉があることも少なくない。何げない人の優しさや誠実さを垣間見ることができて、癒やされます」と語りました。

また、リトアニアを訪れる際にはビリニュス市がおすすめだと述べています。「リトアニアの首都ビリニュスはおすすめです。リトアニアの都市には、日本と違い旧市街が存在し、500年以上の歴史を持つ建物が保存されている区画があります。また、リトアニア中部のカウナスには、『杉原ハウス』があります。この場所では、第二次世界大戦前に、何千人ものユダヤ人の命を救った著名な日本人外交官、杉原千畝氏を紹介しています」と述べました。

懐石料理の美学に魅了

彼女は日本食にも魅了されているようです。「日本料理はとても豊かでおいしいですね。お寿司には感動しています。日本では本当に豊富な魚介類を楽しむことができる。ラーメン、味噌汁、天ぷら、お好み焼きは大好物。キャベツはリトアニアでも人気の野菜ですので、リトアニアで再現することができる点も魅力です」と述べています。

彼女が特に好きなのは懐石料理だそうです。「私は懐石料理が好き。その繊細さ、盛り付けへのこだわり、その美学に毎回、魅了されています。日本人が毎日のように味噌汁を食べるのは非常に興味深い。ご飯ものは全ての料理の後に出てきます。リトアニア人にとって、米はどちらかというと主食ではなくて、おかずのような感覚。和菓子が米や豆から作られていることも不思議に感じます。リトアニアでは、さまざまな野菜を大量に消費する。人気のある野菜はジャガイモ、ビート、ニンジン、キャベツ。日本人が大きな米袋を購入するように、リトアニア人はジャガイモを大袋で購入します。リトアニア料理といえば、ポテトパンケーキやクゲリスというポテトパイ、ジャガイモのお餅であるツェペリナイなど。有名なピンク色のビーツのスープのボルシチは、夏に欠かせないメニューですよ」と語りました。

安全な港を提供する夫人

最後に、彼女はご主人である大使の仕事をどのように支えているかについて語っています。「日常生活がうまく回るよう、家族の世話を第一にと心掛けています。夫が仕事から帰宅した際、安全な港にたどり着いたと思えるような環境を作りたい。彼は大使館のさまざまな活動を通じ、日本人にリトアニアの文化、特に食べ物について学んでもらおうとしています。そのため、リトアニアの料理の紹介や試食会も行っています。食文化を通じ、その国の考え方や様子も学ぶことができるのです」と述べました。

このように、リトアニア駐日大使夫人の日本体験は、日本人の秩序や清潔さ、自然を愛でる感性、そして日本の伝統文化や食文化に対する感銘が深いものでした。彼女の言葉からは、日本の美しい魅力が伝わってきます。

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