ミャンマーでは、2021年のクーデター以降、軍と民主派の武力衝突が激化し、内戦状態が続いています。この混乱に乗じて、深刻な麻薬問題が国全体に蔓延している現状をご存知でしょうか。
近年、ミャンマーは世界最大の麻薬密造拠点と化しており、国境地帯では新たな種類の薬物が流通しているとの情報も。一体何が起きているのか、ミャンマー軍の関与が疑われる麻薬ビジネスの闇に迫ります。
軍が関与? 深刻化するミャンマーの麻薬汚染
ミャンマーの民主派組織であるNUG(国民統一政府)は、2023年10月15日、傘下の武装組織が制圧したミャンマー軍の拠点から、大量のアヘン(約2000キロ以上)を発見したと発表しました。
民主派に投降した兵士からは、「戦場で部隊の士気を高めるために麻薬を使っていた」との証言も。NUGは、このことから「ミャンマー軍が麻薬の密売や流通に関与している証拠だ」と主張しています。
国際社会のミャンマー情勢への関心が薄れる中、軍の関与までもが疑われる麻薬汚染は、深刻な状況となっています。
世界最大の麻薬供給国へ… 経済混乱が麻薬ビジネスを加速
国連薬物犯罪事務所(UNODC)の報告書によると、ミャンマーではクーデター以降、ヘロインの原料となるアヘンの推定生産量が急増。2023年には約1080トンに達し、アフガニスタンを上回り、世界最大の供給国になってしまったとされています。
クーデター後の通貨暴落や物価高騰による経済の混乱が、人々を麻薬ビジネスに走らせている大きな要因の一つと考えられます。生活のために、やむを得ず麻薬の製造や販売に手を染める人が後を絶たないのです。
深夜の外出禁止令下でも… 若者を蝕む“ハッピーウォーター”
ミャンマーの最大都市ヤンゴンでは、軍による深夜の外出禁止令が出されているにも関わらず、多くの若者で賑わうダンスクラブが存在します。
ミャンマーの若者で賑わうダンスクラブ
そして、これらのクラブでは、ヘロインや覚醒剤などの違法薬物が売買されているだけでなく、近年では“ハッピーウォーター”と呼ばれる危険な新種の薬物が若者の間で蔓延しているというのです。
“ハッピーウォーター”とは、覚醒剤の一種であるメタンフェタミンを水に溶かしたもので、安価で入手しやすいことから、貧困層の若者の間で急速に広まっています。
専門家は、“ハッピーウォーター”について、中毒性が非常に高く、大量摂取すると死亡する危険性もあると警鐘を鳴らしています。
まとめ:ミャンマー麻薬問題の闇は深い
ミャンマーでは、クーデター以降、麻薬問題が深刻化しており、貧困や経済の混乱が背景にあると考えられています。
特に、若者の間で蔓延する“ハッピーウォーター”は、深刻な健康被害をもたらす危険性があり、早急な対策が求められます。
ミャンマーの麻薬問題の解決には、政治の安定、経済の復興、そして薬物依存症の治療など、多岐にわたる取り組みが必要不可欠です。