「本人もそれを希望するはず」終末期の母を「死なさずにすんだ」息子の冷静判断 「最期は家」を叶える前に考えたい治療の可能性


【図版で見る】厚生労働省の「『人生会議』してみませんか」のポスター

 大腸がんの末期で、自宅で生活しながら抗がん剤治療を続けていたAさん(女性、63)。もともと「できる限り家で過ごしたい」「延命治療はしない」という意向がはっきりしている患者さんで、自宅でペットと過ごす時間をとても大切にしていました。

 あるとき、Aさんはがんが骨に転移した影響で腰痛が悪化し、緊急入院することに。そこでもAさんは「早く帰って、レオンちゃん(ペットの名前)に会いたい」としきりに訴えていましたが、入院から2日後、Aさんの体調に異変が生じます。

 いつ状況が悪化するかわからない。主治医からも「予断を許さない状態。このまま亡くなるかもしれない」と告げられます。

 このとき、母親の「家に帰りたい」という意向を聞いていた息子さんは、母親を家に連れて帰ることを強く希望しました。「このまま病院で亡くなったら後悔する」と言うのです。これについて、Aさん本人の意向を確かめたくても、意識が朦朧として確認できない状態。息子さんが判断するしかない状況でした。

■「希望通り」がいいとは限らない? 

 「本人の希望を叶えてあげたい」という気持ちは、もちろん大切にすべきものです。一方で、Aさんはがんの終末期ですが、今問題になっている胆管炎は感染症であり、治療したら治る可能性があるものです。



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