東京都議選:スキャンダルと共闘崩壊、混沌とする選挙戦の行方

10月15日に公示された東京都議会議員選挙は、各候補者が激しい舌戦を繰り広げ、都民の関心を集めている。今回の選挙では、与野党ともに逆風に見舞われており、予測不可能な展開となっている。

与党を揺るがす「裏金問題」の影響

自民党は、党内から噴出した裏金問題によって大きな痛手を受けている。石破首相は、一部の裏金に関与したとされる議員を公認から外し、さらに、収支報告書に不記載があった議員全員に対して比例代表への重複立候補を認めないという異例の対応を取った。

この影響は大きく、特に浮動票が多いとされる東京都内では、苦戦を強いられている候補者も多いようだ。永田町では、10月11日から13日にかけて自民党が実施したとされる情勢調査の結果が出回り始め、波紋を広げている。

苦戦を強いられるベテラン議員たち

調査によると、東京11区で9回の当選を誇る下村博文氏、五輪担当大臣を務めた丸川珠代氏など、これまで盤石とされてきたベテラン議員が野党候補にリードを許しているという。

下村氏は、文部科学大臣や党政調会長など要職を歴任してきただけに、今回の苦戦は衝撃的だ。丸川氏も、参議院議員から満を持して衆議院選挙に鞍替え出馬したものの、比例復活がない状況での劣勢は、今後の政治生命に関わる可能性もあるだろう。

東京11区で9回の当選を誇る下村博文氏東京11区で9回の当選を誇る下村博文氏

逆境に強い、平沢氏と萩生田氏

一方、逆境の中でも強さを見せているのが、平沢勝栄氏と萩生田光一氏だ。

平沢氏は、テレビ番組への出演などを通じて築き上げてきた圧倒的な知名度を武器に、東京17区で9選を目指している。立憲民主党が候補者を擁立していないこともあり、盤石の戦いぶりを見せている。

萩生田氏は、旧統一教会問題の渦中の人物として注目を集めたが、立憲候補に対してリードを保っている。永田町関係者は、「立憲は萩生田氏への対抗馬として、旧統一教会問題などを取材してきたジャーナリストの有田芳生元参議院議員を擁立しましたが、リベラル色が強すぎ、中間層の支持獲得に苦戦しているようです」と分析している。

立憲民主党:共産党との共闘崩壊が影落とす

野党第一党の立憲民主党も、厳しい選挙戦を強いられている。4月に行われた東京15区補欠選挙で勝利した酒井菜摘氏は、自民党の新人候補にリードを許している。

また、菅直人元首相のお膝元であった東京18区では、前武蔵野市長の松下玲子氏が立候補したものの、自民候補と接戦を繰り広げている状況だ。

これらの選挙区に共通しているのは、前回選挙では共産党が候補者を擁立せず、立憲民主党と共闘していたのに対し、今回は共産党が候補者を立てている点だ。

混迷を極める選挙戦、その行方は

東京都内では、裏金問題の影響で自民党が苦戦を強いられている一方で、立憲民主党も共産党との共闘崩壊によって苦しい戦いを強いられている。

永田町関係者は、「東京都内では、裏金問題の逆風による自民党の苦戦が各地に生じていますが、一方で立憲民主党も共産党との共闘が崩れたことで厳しくなる選挙区がいくつか出てきています。そうした中で、自民党と立憲民主党のどちらが勝つのか。予断を許さない選挙区が多い」と語っている。

10月27日の投開票日、混沌とした選挙戦を制するのは、果たしてどの政党、どの候補者となるのだろうか?