北陸新幹線開業で注目される「自治体負担」問題
北陸新幹線の延伸計画が進む中、「米原ルート」と「小浜ルート」のどちらが最適なのか、様々な議論が交わされています。特に注目されているのが、各ルートにおける自治体の費用負担です。
近年、インフラストラクチャー整備における財政負担のあり方が問われており、新幹線建設においても例外ではありません。巨額な建設費を賄うためには、国と自治体の連携が不可欠ですが、その負担割合は常に議論の的となっています。
米原ルートと小浜ルートの建設費を比較
北陸新幹線建設における自治体負担を具体的に比較検討してみましょう。
まず、建設費ですが、小浜ルートと京都駅南北案では約5.2兆円、米原ルートでは敦賀~米原間の建設費1兆円に加え、米原駅の車両基地費用2000億円、新大阪~鳥飼間の10km複々線化費用6000億円を合わせて1.8兆円と試算されています。
北陸新幹線整備費の分担イメージ
しかし、全額が国や自治体の負担になるわけではありません。建設費の中から、今後30年間でJRから入ってくる新幹線貸付料収入を差し引いた金額を、国が3分の2、自治体が3分の1を負担する仕組みです。
さらに、自治体負担分の9割は地方債で賄うことができ、地方交付税の措置も受けられます。そのため、自治体の実質負担は12~18%程度とされています。
貸付料収入を考慮するとどうなるか?
国土交通省鉄道局の資料によると、2015年からの25年間で約1兆円、年400億円の貸付料収入が見込まれています。このうち、仮に年300億円を北陸新幹線に充てられるとすると、30年分で9000億円が建設費に充当できます。
この場合、小浜ルートでは差し引き4.3兆円となり、自治体負担は約1.4兆円になります。一方、米原ルートでは差し引き9000億円で、自治体負担は3000億円になります。
自治体ごとの負担割合は?
小浜ルートの場合、1.4兆円の負担を福井県、京都府、大阪府の3府県で分担することになります。分担ルールは明確にされていませんが、属地負担の原則に基づけば、各府県の距離に応じて分担される可能性があります。
米原ルートの場合は、3000億円を福井県、滋賀県、大阪府の3府県で負担します。京都府は米原ルートへの乗り入れがないため、負担ゼロとなる可能性があります。
北陸新幹線イメージ図
ただし、京都府も間接的な経済効果は享受するため、他の3府県とともにある程度の負担を求められる可能性も考えられます。
まとめ
北陸新幹線建設における自治体負担は、ルート選択や貸付料収入などによって大きく変動する可能性があります。それぞれのルートのメリット・デメリットを慎重に比較検討し、地域経済への影響も考慮しながら、最適な整備計画を進めていくことが重要です。