ロシアによるウクライナ侵攻で、北朝鮮兵士が約3000人が既にロシアに派遣されていると韓国情報院が報告。今後、2024年中に約1万人の派兵が予定されており、北朝鮮側には合計30億円以上の見返りを獲得するという。専門家は、その派遣兵には北朝鮮の精鋭部隊「暴風軍団」も含まれる可能性があると指摘。ウクライナ当局は警戒を強め、北朝鮮兵に向けてハングルで投降すれば「1日3食提供する」と呼びかける動画を作成した。
「既に3000人あまりを派遣」北朝鮮兵のロシア派遣拡大
ウクライナメディアが、「女性や子どもとモスクワ市内を歩いていたとされる北朝鮮の将校の動画が公開されている」と報じた。ロシアの首都・モスクワにある「赤の広場」で撮影された映像には、ハングルで「北朝鮮軍 将校?」と書かれていた。
関係者によると18日、約150人の北朝鮮軍関係者がモスクワに到着し、近郊の医療施設などを視察しているという。
親密さを深めているとみられるロシアと北朝鮮だが、国際社会が懸念しているのが、ロシアによるウクライナ侵攻を支援するための北朝鮮からの派兵だ。
これに対し、北朝鮮とロシアは21日の国連安全保障理事会の場で「根拠のない噂」「恐怖をあおっている」と否定している。
しかし、韓国の国家情報院は23日「既に3000人あまりの北朝鮮兵がロシアに派遣されている」と報告し、さらに2024年中に合計約1万人が派遣されるとしている。
アメリカ政府によると、約3000人の北朝鮮兵は10月初旬から中旬に、東部にある元山(ウォンサン)付近からロシアのウラジオストクに移動し、周辺の軍事施設で訓練しているとみられている。
訓練後の北朝鮮兵について、アメリカ・カービー大統領補佐官は23日ワシントンで、「北朝鮮兵は訓練を終えた後、ロシア西部に移動し、ウクライナ軍と戦闘を行う可能性がある」と発言している。
韓国メディアは、派遣された兵士の主力に「暴風軍団」と呼ばれる特殊部隊が含まれている可能性があると伝えている。
甲南女子大学・鴨下ひろみ准教授は「この特殊部隊は、韓国の大統領府を襲撃した事件を起こしたことがある。非常に北朝鮮の中でも最精鋭というか強い(部隊)。正規戦やゲリラ戦であれ、 様々な組み合わせで戦うことができる精鋭部隊なのでかなり手ごわい」と指摘した。
また北朝鮮が「暴風軍団」を含めた約1万人をロシアに派遣するメリットについて、鴨下ひろみ准教授は「ロシアに恩を売ることによって、ロシアからより高度な核ミサイル技術というものを手にして、さらに核ミサイル開発を進めていこうという狙いが一つ。もう一つは、アメリカ大統領選挙を前に国際社会を大きく揺さぶることによって、大統領選後のアメリカとの交渉を有利に進める狙いがある」と分析する。