厚生労働省は、副業・兼業をより推進するため、残業代の計算方法を見直す検討に入ったと発表しました。現状では、本業と副業の労働時間を通算して残業代を計算するルールですが、この複雑な仕組みが副業・兼業のハードルになっているとの指摘を受け、改正案が検討されています。
現行の残業代計算ルールとその課題
労働基準法では、1日8時間、週40時間を超える労働には割増賃金の支払いが義務付けられています。これは、いわゆる「残業代」です。そして、複数の企業で働く場合、現行制度では本業と副業の労働時間を通算し、法定労働時間を超えた部分に残業代を支払うことになっています。
東京都千代田区にある厚生労働省が入る合同庁舎
この制度は、労働者の権利を守る上で重要な役割を果たしてきました。しかし、近年、副業・兼業を希望する人が増加する中で、この通算ルールが企業にとって事務処理の負担を増大させ、副業・兼業への足かせになっているという指摘が出ています。例えば、企業は従業員の副業先での労働時間を正確に把握する必要があり、これが難しいケースも少なくありません。また、副業先との連携も必要となり、企業側の負担が大きいのが現状です。
新たなルールで副業・兼業を後押し
厚生労働省の有識者研究会では、この通算ルールを見直す方向で議論が進められています。具体的には、本業と副業の労働時間をそれぞれ独立して計算する案などが検討されているようです。
この見直しによって、企業の事務負担が軽減され、より多くの企業が副業・兼業を容認するようになることが期待されます。また、労働者にとっても、より柔軟な働き方が可能となり、スキルアップや収入増加の機会につながる可能性があります。
労働時間管理の未来像
今回の見直しは、働き方改革の流れを汲むものと言えます。人生100年時代と言われる現代において、個人が複数の仕事を持つことは珍しくなくなってきています。政府としても、副業・兼業を促進することで、個人の能力開発や経済活性化を図りたい考えです。 人事コンサルタントの山田花子さん(仮名)は、「本業と副業の労働時間を通算しないことで、企業は副業を推進しやすくなり、個人のキャリア形成にもプラスの影響が期待されます」と述べています。
まとめ:柔軟な働き方実現に向けて
今回の残業代計算ルールの見直しは、副業・兼業を希望する人にとって大きな前進となる可能性があります。今後、どのような制度設計がなされるのか、引き続き注目していく必要があります。 より柔軟な働き方ができる社会の実現に向けて、今回の見直しが重要な一歩となることを期待しましょう。