名古屋市長選といえば、常に話題の中心に河村たかし氏。その独特な言動にも関わらず、高い人気を誇る理由とは一体何なのでしょうか?本記事では、河村氏の経歴、政策、そして専門家の意見を通して、その実態に迫ります。
河村たかし氏の経歴と「庶民ファースト」
バンテリンドーム ナゴヤ近くの築50年近いビル。これが、河村氏の自宅兼事務所です。市長就任当初は路線バスで通勤していたというエピソードからも、彼の「庶民性」が垣間見えます。「名古屋は庶民ファースト」というキャッチフレーズは、小池百合子東京都知事のフレーズを彷彿とさせますが、河村氏自身の生い立ちも大きく影響しているようです。
1948年生まれの河村氏は、一橋大学商学部卒業後、家業の古紙回収会社「河村商事」に入社。その後、父親との衝突を機に司法試験に挑戦するも9回不合格。県議選、衆院選にも落選するなど、決して順風満帆な人生ではありませんでした。
河村たかし氏
中京大学現代社会学部教授の松谷満氏は、この「不器用な人生」こそが、河村氏の「憎めない」イメージにつながり、数々の炎上騒動も大目に見られる理由ではないかと分析しています。1993年に衆院選で初当選後、日本新党、新進党、自由党、民主党と革新系野党を渡り歩き、2009年に名古屋市長に初当選。現在まで4期務めています。
河村市政15年の成果と課題:市民税減税以外の実績は?
河村氏の看板政策といえば「市民税減税」。確かに名古屋市民の税負担は軽減され、周辺地域からの高所得者の流入も増加しています。しかし、それ以外の公約はほとんど実現していないという指摘もあります。
名城大学都市情報学部教授で元自治官僚の昇秀樹氏は、市民税減税と市長報酬の削減は評価しつつも、その他の政策については「思いつき」と評しています。「名古屋市内にSLを走らせる」「栄周辺を自動車通行禁止にする」「名古屋城を完全木造で復元する」など、壮大な構想は発表されるものの、具体的な実現に向けた道筋は示されず、市職員の不満も募っているようです。
名古屋の好景気が、河村氏の政策の不備を覆い隠している側面もあるかもしれません。しかし、市民は本当に政策の中身を知らずに投票しているのでしょうか?今後の名古屋市政を担うリーダーを選ぶ上で、市民一人ひとりが政策をしっかりと見極める必要があると言えるでしょう。