■注目を集める「PR会社社長の出身校」
斎藤元彦氏が返り咲きを果たした兵庫県知事選は、いまだにメディアで話題の中心にある。いや、選挙の後のほうが盛り上がっている。
中でも、斎藤氏の「(選挙の)広報全般を任された」(現在は記述を変更)とブログに書いた、PR会社代表の折田楓氏をめぐる話題が止まらない。違法行為があったのか否か。テレビや新聞といった「マスメディア」が連日報じている。斎藤知事は、11月27日の記者会見で、法律に違反する行為はない、という認識を改めて示した。
ただ、そうした「問題」と並んで、SNS上を賑わせているのが、折田氏が慶應義塾大学「SFC」出身であるという点である。
「SFC」のイメージが、彼女への注目に拍車をかけているのではないか。
SNS上で「やっぱりSFC」と検索してみてほしい。折田氏の「失態」について、彼女の出身校と結びつけている投稿が出てくるだろう。
「SFC」出身のライター・石黒隆之氏は「日刊SPA!」の記事で、「それらの意見を総合すると、“中身はないがコミュ力が異常に高い”という意見に集約される」とまとめた上で、折田氏のことばの節々に「合理性と利得の追求が最優先」された「意識高い系の悪い面が凝縮されている」と、「SFCに対する潜在的な不信感」を分析している。
■「SFC」とは、Shonan Fujisawa Campusのこと
年代は違うものの、同じ「SFC」出身者としての分析は、納得感が高い。折田氏にかぎらず、石黒氏が挙げる、古市憲寿氏(社会学者・作家)や大空幸星氏(衆議院議員)といった“若手論客”に対しては、好感度だけではなく、批判も目にするからである。
毀誉褒貶があるのは、「SFC」出身者に限らない。それよりも、まず考えたいのは、この「SFC」という表記についてである。
石黒氏も、あるいは、SNS上の多くの投稿も、何のことわりもなしに「SFC」と書いているが、はたして、どれだけの人に伝わっているのだろうか。「SFC」とは、そもそも何を指しているのだろうか。
折田氏の出身校である「SFC」は、Shonan Fujisawa Campus(湘南藤沢キャンパス)の頭文字であり、慶應義塾大学が1990年につくった、神奈川県藤沢市のキャンパスを指している。そこには、「総合政策学部」と「環境情報学部」「看護医療学部」、そして、大学院の「政策・メディア研究科」と「健康マネジメント研究科」があり、ほかにも研究所や、中等部・高等部(中学・高校)などがある。