普通の葬儀にしておけばよかった…「年金月8万円」「貯金ゼロ」の享年78歳母を家族葬で弔った、シングルマザーの52歳娘。葬儀後に知った「まさかの真実」に涙したワケ【CFPの助言】


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アフターコロナの葬儀の形

株式会社鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査」によると、直近では50%の人が「家族葬」を選択しています。次いで「一般葬」が30%、告別式のみ行う「一日葬」、葬儀を行わない「直葬・火葬式」と続きます。(調査対象:2022年3月~2024年3月に喪主を経験したことのある日本全国40歳以上の男女、有効回答数2,000件)

[図表1]は一般葬と家族葬の割合の推移を示しています。コロナ前までは、一般葬の割合が家族葬を上回っていました。ところが、人同士の接触を避けなければならなくなったコロナ禍で割合は完全に逆転し、その傾向は現在も続いています。

確かに、最近は著名人が亡くなった際にも一般葬ではなく、家族葬を選択することが増えているようです。

自分事として考えた場合でも、葬儀に参列する機会は減っていると感じる人も多いのではないでしょうか。

ケイコさん(仮名:54歳)が家族葬を選択した理由

亡くなった日は、トシエさんの月1回の通院日でした。通院には毎回、ケイコさんが有給を取って付き添っていました。亡くなる前日も電話で翌日の時間について打ち合わせをしたばかりでした。ケイコさんが翌日予定通り実家に行くと、トシエさんが居間で倒れていたそうです。心臓発作という突然のお別れとなってしまいました。

母のトシエさんは、自身が50歳のときに夫と死別して以来一人暮らしをしていました。子どもは娘のケイコさんだけです。

夫が亡くなるまでは、夫婦で地元の商店街で精肉店を営んでいました。「コロッケが美味しい」と評判の人気店です。全盛期は多くのお客さんでにぎわっていたそうですが、近くに大型スーパーが建つと人の流れが変わってしまいました。商店街は徐々に活気が失われ、シャッターを閉めたままの店舗が目立つようになってしまったといいます。

先行きに不安を感じ始めたころ、トシエさんの夫が病に倒れてしまいます。数ヵ月の闘病の末、他界してしまいます。寂れつつある商店街でトシエさん一人で店を切り盛りすることは難しく、店を閉める決心をします。

精肉店を閉店したあと、トシエさんは近所のスーパーの総菜部門で働き始めます。しかし、持病の関節リウマチが悪化してしまったため、やむなく60歳で仕事を辞めることに。それ以後は月8万円の年金をもらいながら、店舗兼自宅で慎ましく暮らしてきました。

負債はありませんが、貯金といえるほどの蓄えもなかったようです。

母の葬儀は、必然的に一人っ子のケイコさんが取り仕切ることになります。

実は、ケイコさん、大学4年生と高校3年生の娘2人を持つ、シングルマザーです。ケイコさんの収入をあてにして浪費を続ける前夫には2年前に三行半を突きつけました。

2人の娘はケイコさんが引き取りました。ケイコさんは、短大卒業以来、正社員として働いており、現在の年収は約500万円です。しかし、住宅ローンがあり、娘たちの教育費などを考えると決して余裕のある生活ではありません。

母の死が突然であったため、ケイコさんは気持ちの整理もつかないまま葬儀の準備をしなければなりませんでした。また、葬儀の費用面も気がかりでした。

葬儀にかかる費用は、葬儀の規模が大きくなるほど高額になるのが一般的です。一般葬が最も高額になりやすく、次いで家族葬、一日葬、直葬と続きます。[図表2]

ケイコさんは生前の母の言葉を思い出しました。

「死んだ人間にお金をかけるのはもったいないよ。私の葬式は簡素でいい。戒名もいらないから……」というものでした。

そこでケイコさんは、参列者は自分と娘2人、ケイコさんが知っている母の友人3人、同じ商店街で懇意にしていた人が4~5人程度と見積もりました。実は、母には10年以上連絡を取っていない妹がいることを知っていましたが、母とは昔からウマが合わず、大人になってからは疎遠になっていたことを知っていたため、連絡先がわからないのをいいことに積極的に連絡を取ることをしなかったそうです。

突然のお別れとなり、葬儀の種類の違いなども知らなかったケイコさんですが、葬儀会社に相談した結果、参列者の人数や費用面を勘案して家族葬を執り行うことにしたそうです。

実際は、遠方に住んでいたり、介護施設に入居していたりで参列できない人もいたため、参列者は6人でした。



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