兵庫県知事選:斎藤知事の選挙費用疑惑、広報会社への請求書に疑問符

兵庫県知事選で再選を果たした斎藤元彦知事を巡る公職選挙法違反疑惑が、依然として波紋を広げている。広報業務を担ったPR会社「merchu」への報酬支払いが買収に当たる可能性が浮上し、火消しに躍起となっている斎藤知事だが、提示された請求書の内容にさらなる疑問が生じている。本記事では、その詳細を紐解き、疑惑の核心に迫る。

公費で賄えるはずのデザイン費用をなぜ自費で?

斎藤知事側は、merchuへの報酬として約70万円を支払ったと主張し、その内訳としてチラシデザイン制作に15万円、ポスターデザイン制作に5万円が含まれていることを明らかにした。しかし、公職選挙法では、一定以上の得票を得た候補者の選挙費用は公費で負担されることになっている。チラシやポスターのデザイン・印刷費用も当然含まれるため、なぜ斎藤知事側が自費で支払ったのか、疑問が残る。

選挙プランナーの見解では、印刷費用だけで上限に達し、デザイン費用を自費で賄うケースは極めて稀だという。通常、デザイン費用も含めて公費請求するのが一般的であり、請求書の内容は不自然との指摘もある。供託金没収ラインを大きく超える得票が予想される斎藤知事にとって、デザイン費用を取りっぱぐれリスクを考慮する必要性は低い。金額自体は妥当な範囲内だが、なぜこのような不可解な請求が発生したのか、解明が待たれる。

兵庫県知事、斎藤元彦氏の選挙ポスター兵庫県知事、斎藤元彦氏の選挙ポスター

異常に安いメインビジュアル制作費用

さらに、merchuへの請求書には、メインビジュアルの企画・制作費用として10万円が計上されている。しかし、広告業界関係者によると、これは異常に安い金額だという。メインビジュアルは、ポスターやSNS、ウェブサイトなどで使用される重要なイメージ画像であり、デザインガイドブックの作成なども含めると、通常は最低でも30万円はかかるとのことだ。

merchuの折田社長は、メインビジュアルの写真撮影をプライベートスタジオを持つカメラマンと友人のヘアメイクアーティストに依頼したとブログで述べている。しかし、プロのカメラマンやスタイリストへの報酬を考慮すると、10万円という金額では到底収まらない。知り合いに格安で依頼した可能性も考えられるが、それでも安すぎるという指摘は免れない。

斎藤元彦氏の選挙に関する不自然な請求書斎藤元彦氏の選挙に関する不自然な請求書

疑惑払拭へ、さらなる説明が必要

斎藤知事は、一貫して法令違反を否定している。しかし、提示された請求書の内容には多くの疑問点が残っており、疑惑は深まるばかりだ。広報会社への報酬の妥当性、メインビジュアル制作費用の異常な安さなど、納得のいく説明が求められる。今後、さらなる調査と情報公開が不可欠であり、真相究明が待たれる。