「石丸新党」に脅威を感じて…
安倍政権で「最強の官邸官僚」と呼ばれた男が、今度は都庁に籍を置く。
11月22日、東京都の小池百合子知事は、安倍晋三元総理のもとで首席首相秘書官を務めた今井尚哉氏を、都の新たな参与に選任したと発表した。起用理由について、脱炭素社会に向けたエネルギー政策について助言を受けるためとしている。
都議の上田令子氏が小池氏の思惑を推察する。
「小池さんは来夏の都議選を意識しています。都知事選で躍進した石丸伸二さんが、新党を作って都議選に打って出ると宣言していることに脅威を感じており、再エネ政策のお墨付き人材を配置して対抗したいのでしょう」
今井氏は岸田政権まで内閣官房参与としてエネルギー政策に携わってきたためまさに適任と思えるが、今井氏の経産省時代の同僚は首を傾げる。
「今井さんは原子力政策に熱心な人で、民主党政権時代も野田聖子さんや仙谷由人さん相手に原発再稼働を口説いていた。小池さんが推進している太陽光発電などのグリーンエネルギーに大して思い入れはないのでは」
非難轟々の「太陽光パネル設置義務化」
ではなぜ小池氏は今井氏にこだわるのか。読み解く鍵は来年4月から始まる、都の「太陽光パネル設置義務化」だ。
「再エネを掲げる小池氏の目玉政策でしたが、拙速に進めたため、批判も多い。今井さんが所属するキヤノングローバル戦略研究所の杉山大志研究主幹も大反対しています。今井さんを巻き込むことで、こうした批判を抑えたいのでしょう」(上田氏)
当の杉山氏が言う。
「国土交通省の資料では『初期費用150万円の太陽光発電システムを設置しても15年で元が取れる』という試算が示されています。しかし、太陽光発電の買い取り価格は割高に設定されており、それを再生可能エネルギー発電促進賦課金といった形で負担しているのは、私たち一般国民です。都内に戸建てを買える富裕層への優遇制度で、私は反対です」
「安倍の右腕」は現状を打破できるのか。
【こちらも読む】『もはやサンドバッグ状態!外交で惨敗した石破総理に待ち受ける「東京都連裏ガネ疑惑」』
「週刊現代」2024年12月7・14日合併号より
週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)