日本の次世代小型ロケット「イプシロンS」の開発が、大きな壁にぶ딪っています。2回目のエンジン燃焼試験で再び爆発事故が発生し、日本の宇宙開発計画に暗雲が立ち込めています。種子島宇宙センターで行われた今回の試験は、前回、能代ロケット実験場で起きた爆発事故の反省を踏まえ、万全の体制で臨んだはずでした。しかし、結果は無情にも同じ結末を迎えることとなりました。
繰り返される爆発事故、原因究明は?
26日午前に行われた燃焼試験は、開始20秒後から異変が生じ始めました。燃焼圧力が予想値を上回り、49秒後には爆発に至ったのです。驚くべきことに、この現象は前回の爆発事故と酷似しています。前回、高温で溶けた点火装置の一部がモーター内の隙間に入り込んだことが原因と特定され、今回は断熱材で覆う対策を施していました。しかし、その対策は効果を発揮しなかったようです。一体何が原因なのでしょうか?
イプシロンS爆発時の様子
専門家からは、「同じ事象が起きたということは、正しく原因が究明されていなかったということ」と厳しい声が上がっています。三菱重工業でH2Aロケットの開発に携わった金沢工業大学の森合秀樹教授は、「対策が全く功を奏しておらず、技術的に糾弾されるべき話だ」と指摘しています。
イプシロンS開発の遅延は避けられない見通し
今回の爆発事故により、種子島宇宙センターの施設復旧には数カ月かかると見られています。能代ロケット実験場も前回の爆発事故で使用不能となっており、復旧には数年を要するとのこと。国内でこの試験を行えるのはこの2カ所のみであるため、イプシロンSの開発は深刻な遅延を余儀なくされています。当初、24年度中の打ち上げを予定していましたが、JAXAの井元隆行プロジェクトマネージャは「厳しいと思う」と述べ、遅延は避けられない状況です。
日本の小型ロケット開発の現状
現在、日本で運用されている小型ロケットは存在しません。2013年から運用されていた固体燃料小型ロケット「イプシロン」は、2022年に6号機の打ち上げに失敗。イプシロンSは、このイプシロンを改良した次世代小型ロケットとして開発が進められてきました。大型の新型基幹ロケット「H3」と同じ部品を使うことでコスト低減を図り、H3と共に国内外で需要の高まる衛星打ち上げビジネスでの競争に勝ち抜くことが期待されていました。しかし、度重なる爆発事故により、その未来は不透明なものとなっています。
爆発直後の種子島宇宙センター
今後の課題と展望
今回の爆発事故は、日本の宇宙開発にとって大きな痛手となりました。原因究明を徹底的に行い、再発防止策を確立することが急務です。また、開発体制の見直しや技術力の向上など、根本的な問題解決にも取り組む必要があります。日本の宇宙開発の未来のため、関係者は一丸となってこの困難を乗り越え、信頼回復に努めなければなりません。