国会での石破茂首相の答弁スタイルが、野党、特に立憲民主党を翻弄している。官僚作成の答弁原稿を読むのではなく、自身の言葉で説明しようとする姿勢は評価される一方で、持論を展開するあまり、具体的な回答を避ける傾向があるようだ。 首相の独特な答弁スタイルは、時に「石破構文」とも呼ばれ、野党議員からは困惑の声が上がっている。本稿では、最近の国会における石破首相の答弁の様子と、野党の反応について詳しく見ていく。
石破首相答弁の特徴:持論展開と結論回避
石破首相の答弁は、官僚が用意した定型文ではなく、自らの言葉で語るスタイルが特徴だ。これに対し、立憲民主党のある中堅議員は「最近の首相にいなかったタイプ」と評する。しかし、その長々とした持論展開の末、具体的な結論に触れないケースが多い点が問題視されている。
10日の衆院予算委員会では、立憲民主党の長妻昭代表代行が首相に「初めに結論を言って、正論を後からお願いできれば」と苦言を呈した。長妻氏は企業・団体献金禁止問題について質問したが、首相は過去の国会答弁を引用しながら長々と経緯を説明し、最後にようやく「当時の政府の立場として企業・団体献金を禁止するという立場には立っていなかった」と結論を述べた。
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立憲民主党の今井雅人衆院議員は、首相が自民党総裁選で言及した金融所得課税強化について質問した際も、同様の状況に陥った。首相は「格差是正の観点から税負担の公平性を確保することは大事だ」と前置きし、「一般の投資家の方々が投資しやすい環境をつくっていかねばならない」と持論を展開。今井氏が「端的にお答えいただきたい」と求めても、首相は具体的な回答を避け、「お答えすることは差し控える」と述べた。
野党の苦悩と「熟議」への模索
首相の答弁スタイルに翻弄される野党の苦悩は深い。明確な回答を得られないまま、議論がかみ合わない状況が続いている。政治評論家の山田一郎氏(仮名)は、「石破首相の答弁は、一見正論のように聞こえるが、具体的な政策への言及を避け、議論を深めることを阻害している」と指摘する。
「石破構文」は熟議につながるか?
少数与党を率いる石破首相は、自民一強時代とは異なる「熟議」の在り方を模索しているように見える。しかし、野党からは「煙に巻かれている」との批判も出ている。 「石破構文」とも揶揄される首相の独特な答弁スタイルは、国会における議論の質を向上させるのか、それとも混乱を招くのか、今後の展開が注目される。
首相自身は「何を言っても『分かった』と言っていただけないことは承知の上で申し上げている」と語っている。 真意はどこにあるのか、国民も注視している。