日本維新の会は、衆議院で自民党、立憲民主党に次ぐ第3勢力としての存在感を高められるのか。新代表の吉村洋文大阪府知事は、来夏の参議院選挙で非改選議席を含め18議席以上獲得という目標を掲げています。しかし、与党過半数割れを目指し32の「1人区」で野党共闘を模索する一方で、石破茂氏が提出した2024年度補正予算案には賛成するなど、その立ち位置は曖昧なままです。「年収103万円の壁」問題をめぐる与野党協議でも、自民党と国民民主党の対立が深まる中、維新の姿勢は明確ではありません。経済アナリストの山田一郎氏は「維新は自民党と本当に戦う意思があるのか疑問だ。中途半端な姿勢では、来夏の参院選も厳しい戦いになるだろう」と指摘しています。
吉村新体制、厳しい船出
10月の衆議院選挙で敗北した維新は、馬場伸幸前代表の退陣を受け、12月1日の代表選で吉村氏が新代表に選出されました。高い発信力と新型コロナウイルス対策での手腕が評価され、「将来の宰相候補」と期待された吉村氏。2023年4月の大阪府知事選、大阪市長選、大阪市議選での圧勝、そして衆院選での大阪19選挙区制覇と、地元大阪では圧倒的な強さを誇ります。
大阪府知事選のポスター
しかし、全国展開となると課題は山積しています。衆院選では、自民党に逆風が吹く中でも関西圏以外では苦戦を強いられました。国民民主党が比例得票数を大幅に伸ばす一方で、維新は前回衆院選から大きく得票数を減らし、「独り負け」という結果に終わりました。比例得票の多くが近畿ブロックに集中している現状も、全国政党を目指す維新にとって大きな課題です。吉村代表自身も、「非常に厳しい党勢でのスタート」と危機感を募らせています。
維新の戦略、岐路に立つ
馬場前執行部が「政府・自民寄り」と批判されたことを受け、吉村新体制は「対峙すべきは自民党」という姿勢を打ち出しています。全国一律の党勢拡大ではなく、「戦略的地域」を選定し、候補者擁立を進める方針です。
政治評論家の田中花子氏は、「維新は改革政党としての独自性を明確にし、有権者にアピールする必要がある。政策実現のためには、時に野党共闘も視野に入れつつ、柔軟な対応が求められる」と述べています。
維新の改革、実現への道筋
維新は、大阪での実績を基に、規制改革、地方分権、教育改革など、幅広い分野で改革を推進していくとしています。しかし、国政レベルでの実現には、他党との連携も不可欠です。
吉村代表は、改革への強い意志を示しつつも、現実的な対応も迫られています。維新が目指す改革を実現し、国民の支持を得るためには、明確なビジョンと戦略、そして柔軟な政治手腕が求められるでしょう。来夏の参院選は、維新にとって正念場となります。