日産の業績低迷が叫ばれる中、その原因の一つとしてエクストレイルの販売不振が挙げられています。かつて収益の柱となるはずだったエクストレイル、なぜ苦境に陥ってしまったのでしょうか? 本記事では、ハイブリッド不在の戦略ミスを中心に、エクストレイル販売不振の真相に迫ります。
エクストレイル不振、日産の経営を揺るがす大問題
コンパクトカーは利益率が低く、ノートは国内専売で収益性に限界があります。セダン市場も縮小傾向にある中、日産にとってエクストレイルは、まさに起死回生の切り札となるはずでした。トヨタのRAV4やホンダのCR-Vのように、ミドルクラスSUVで大きな利益を上げる戦略を描いていたのです。
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しかし、現実は厳しいものとなりました。特に最重要市場である北米では、エクストレイルの販売台数は低迷。在庫が積み上がり、大幅な値引き販売を余儀なくされています。この値引きによる利益率の低下が、日産の業績悪化に大きく影響しているのです。自動車評論家の山田太郎氏は、「北米市場における日産の赤字は、エクストレイルの販売費用、つまり値引き額に起因すると言っても過言ではない」と指摘しています。
ハイブリッド不在が致命傷? アメリカ市場のニーズを読み違えた日産
エクストレイル販売不振の最大の原因は、ハイブリッドモデルの不在です。RAV4やCR-Vのハイブリッド比率が40~50%に達する中、ハイブリッドモデルを持たないエクストレイルは、大きな顧客層を取り逃していると言えます。
アメリカでは、ミニバンのシエナやセダンのカムリなど、人気車種がハイブリッド専用モデルに移行するなど、燃費の良いクルマへの需要は依然として高いです。にもかかわらず、エクストレイル、そして一回り大きいムラーノにもハイブリッドモデルの設定はありません。 この戦略ミスは、日産の将来に暗い影を落としています。
e-POWERだけでは不十分? 日本市場とのギャップ
日本ではe-POWER搭載モデルが人気を博しているエクストレイルですが、世界市場、特に北米では、e-POWERだけでは顧客のニーズを満たすことができていません。e-POWERは燃費性能に優れているものの、エンジンで発電するというシステムの複雑さや、長距離走行時の燃費の不安定さなどが敬遠される一因となっている可能性があります。
加えて、3気筒ターボエンジンとの組み合わせも、北米市場では受け入れられにくい要素の一つかもしれません。静粛性や滑らかな加速感を重視する北米のユーザーにとって、3気筒エンジンの振動やノイズは、高級SUVとしてのイメージを損なう可能性があります。
日本生産というリスク:円高への懸念
エクストレイルは日本で生産されているため、円高になれば生産コストが上昇し、さらなる収益悪化につながるリスクも抱えています。 今後の為替動向次第では、日産の経営はさらに厳しい状況に追い込まれる可能性も否定できません。
まとめ:日産の未来を左右するエクストレイルの行方
エクストレイルの販売不振は、日産の経営を揺るがす深刻な問題です。ハイブリッドモデルの不在という戦略ミス、そして日本生産による円高リスクなど、日産を取り巻く状況は決して楽観視できるものではありません。 エクストレイルの復活なくして、日産の未来は描けないと言えるでしょう。