旅客機のエンジンが鳥を吸い込む「バードストライク」。韓国・務安国際空港での事故もこの可能性が指摘されており、改めて航空安全における深刻な課題として注目されています。今回は、バードストライクの実態と対策、そして私たちにできることを詳しく解説します。
バードストライクとは？その危険性
ジェットエンジンは強力な吸引力で空気を吸い込むため、鳥が巻き込まれるバードストライクが発生します。特に大型の鳥との衝突はエンジン損傷に繋がり、最悪の場合はエンジン停止に陥ることも。小さな鳥でも、群れで衝突すれば大きなダメージを与える可能性があります。航空機の安全運航に深刻な脅威となるのです。
alt: 福岡空港でのバードストライク対策の様子。空港職員が空砲を撃って鳥を追い払っている。
バードストライクの発生状況と過去の事例
国土交通省のデータによると、日本国内では年間1000件を超えるバードストライクが発生しています。コロナ禍で一時的に減少したものの、再び増加傾向に。機体損傷の事例も報告されており、その深刻さが浮き彫りになっています。
過去には、1960年の米ボストン、2009年のニューヨークなど、バードストライクが原因で墜落や不時着水に至った痛ましい事故も発生しています。航空業界全体で、対策の強化が急務となっています。
バードストライク対策：多角的なアプローチ
バードストライクの発生件数が多い空港では、様々な対策が講じられています。例えば、空港職員によるパトロール、空砲やスピーカーによる鳥の威嚇、鳥のエサとなる昆虫の駆除などです。航空機メーカーも、エンジンの強度向上といった対策を進めています。
課題と今後の展望
鳥は種類も行動も多様であり、全ての状況に対応する完璧な対策は容易ではありません。鳥が航空機を認識して回避するまでの時間的猶予が少ないことも、バードストライク発生の要因となっています。
国土交通省は「鳥衝突防止対策検討会」を毎年開催し、専門家や航空関係者と連携して対策の検討を続けています。航空業界全体で、より効果的な対策を模索していく必要があります。 航空技術の進化とともに、レーダー技術を活用した鳥の早期検知システムの開発なども期待されています。
まとめ：安全な空の旅を守るために
バードストライクは航空安全における大きな課題であり、関係機関による継続的な努力が不可欠です。より高度な技術開発や国際的な連携強化など、多角的なアプローチで安全な空の旅を守ることが重要です。
