激動の韓国IT業界：2024年の展望と課題

韓国IT業界は、激動の時代を迎えています。米中対立、世界的な景気減速、そして国内政治の不安定化など、多くの課題に直面しています。2024年、韓国IT企業はどのような未来を描けるのでしょうか。

外部環境の逆風：米国の圧力と世界経済の減速

韓国IT企業にとって最大の懸念は、米国の政策変化です。「トランプ2.0」とも呼ばれる保護主義的な政策は、韓国企業の米国市場進出を阻む可能性があります。ある育児関連スタートアップ企業の代表は、「米国進出のハードルはさらに高くなるだろう」と語り、将来への不安を隠しません。ベンチャー企業協会の調査でも、回答企業の半数以上が米国の政策変化による悪影響を懸念しています。

育児関連アプリの画面

世界経済の減速も、韓国IT業界に暗い影を落としています。スタートアップへの投資は前年比で30%以上減少しており、資金調達はますます困難になっています。ベンチャー企業協会のイ・ミニョン政策研究チーム長は、「大企業の投資意欲も減退しており、先行きは不透明だ」と厳しい見方を示しています。

スタートアップ企業のオフィス

国内政治の混乱：規制強化の懸念

国内政治の混乱も、韓国IT業界の不安材料となっています。野党「共に民主党」は、プラットフォーム企業への規制強化を掲げており、業界からは懸念の声が上がっています。民主党の李在明代表は、「党の総力を挙げてオンラインプラットフォーム規制法を制定する」と表明しています。

公正な競争か、逆差別か：複雑化する規制環境

韓国の規制環境は、他の主要市場と比べて複雑です。米国や欧州では、自国企業の保護を目的とした規制が導入されることが多い一方、韓国では、国内IT企業と海外ビッグテックが激しい競争を繰り広げています。そのため、規制の影響を予測することが難しく、適切な政策を打ち出すことが求められています。プラットフォーム企業の関係者は、「欧州では自国産業保護のための規制が、韓国では国内企業への逆差別となる可能性がある」と指摘しています。

韓国市場を狙う海外企業：ウーバーの再挑戦

このような状況下で、韓国市場を狙う海外企業も増えています。配車サービス大手のウーバーは、韓国市場への再進出を表明しました。韓国のモビリティ市場を席巻するカカオモビリティにとっては、新たな脅威となるでしょう。

ウーバーのアプリ画面

スタートアップ企業の訴え：積極的な支援の必要性

成長の代わりに、生き残りを目指すスタートアップ企業は、政府による積極的な支援を求めています。あるコマース事業を準備中のスタートアップ企業の代表は、「投資を受ける機会すら減っている。政府には実質的な支援を期待したい」と訴えています。また、「ビッグテックとの競争において、国内企業を保護する必要がある」との声も上がっています。韓国IT業界の未来は、政府の政策と企業の努力にかかっています。