日本の若者世代を中心に、ノンアルコール飲料市場が活況を呈しています。かつては「お酒を飲めない人」のための選択肢と思われていたノンアルコール飲料ですが、今や健康志向や多様なライフスタイルに合わせて、積極的に選ばれる時代へと変化しています。この記事では、ノンアルコール飲料市場の盛り上がりと、その背景にある社会現象について詳しく解説します。
若者の「酒離れ」：ノンアルコール市場成長の鍵
市場調査会社のニールセンIQによると、Z世代（1990年代後半～2000年代初頭生まれ）の約45％が飲酒経験がないというデータが出ています。ミレニアル世代（1980年代～1990年代半ば生まれ）で36％、X世代（1960年代～1970年代後半生まれ）で32％と比較すると、世代が若くなるにつれて飲酒経験がない人の割合が増加していることがわかります。
alt:若者がノンアルコールビールを楽しんでいる様子
この「酒離れ」の傾向は、ノンアルコール飲料市場の成長を後押しする大きな要因となっています。お酒を飲まない、あるいは控えたいという若者が増えるにつれ、ノンアルコールビールやモクテルなど、味も見た目も本格的なノンアルコール飲料の需要が高まっているのです。
ノンアルコールビール市場の拡大：大手企業も続々参入
統計調査会社スタティスタによると、アメリカのノンアルコールビール市場は2018年から2023年にかけて15％拡大し、213億ドルに達しました。調査会社フューチャー・マーケット・インサイトは、この市場規模が2033年までに倍増すると予測しています。
この成長著しい市場に、大手ビールメーカーも注目しています。ほとんどの大手メーカーがノンアルコール商品を展開し、成人のノンアルコール飲料市場の85％を占めているとされています。
ノンアルコール飲料の魅力：多様なニーズに応える
ノンアルコール飲料の魅力は、単にお酒を飲めない人の代替品というだけではありません。健康志向の高まり、運転の必要性、妊娠・授乳中など、様々な理由でお酒を控えたい人が、気兼ねなく楽しめる選択肢となっています。
また、近年では、味や品質も格段に向上しています。クラフトビールのような風味豊かなノンアルコールビールや、見た目も華やかなモクテルなど、お酒を飲まなくても満足できる商品が増えています。
アスレティック・ブルーイング社の成功例：ノンアルコールビールの可能性
全米ナンバーワンのノンアルコールビール製造会社であるアスレティック・ブルーイング社は、創業当初はアルコール依存症からの回復者や運転手層をターゲットとしていましたが、現在では顧客の79％が45歳以下、中心は25～35歳となっています。これは、ノンアルコールビールが、お酒を飲まない若者世代にも広く受け入れられていることを示しています。
同社創業者のビル・シュフェルト氏は、「Z世代は、法的に飲酒可能な年齢に達した時点で、社会的な後ろめたさがないノンアルコールの優れた選択肢を持つ最初の世代だ」と述べています。
今後のノンアルコール市場：さらなる成長と多様化
ノンアルコール飲料市場は、今後も成長を続けると予想されます。健康志向や多様なライフスタイルへの対応、そして味や品質の向上により、さらに多くの人々に受け入れられていくでしょう。
また、ノンアルコールビールだけでなく、ノンアルコールワインやカクテル、モクテルなど、様々な種類のノンアルコール飲料が登場し、市場はますます多様化していくと考えられます。
