【リセットコリア】「大権」をなくす改憲が必要だ


改憲は臨時方便ではこれ以上耐えられなくなったこのような難題を構造的・制度的に整理する解決手段だ。もちろん、改憲だけで権力の濫用や国民に恥ずかしい思いをさせる選挙行動は、一度に解消することはできない。しかし、世界中が見守る中で方向性を失い、危うくなった韓国社会が改憲の過程を経て自己省察をして新しい民主的エネルギーを集めるならば、その力は危機に陥った私たちを再び立て直すことができる。

改憲の志向点は「分権」だ。いわゆる「大権」をなくす改憲が必要だ。これまで改憲議題を権力構造よりは主に基本権強化に重点を置いて提示してきた市民社会でも、今回は分権型改憲に焦点を合わせている。政治と国政運営で大統領制の勝者独占を打破し、執行部と立法部の間に、そして立法部内で牽制と均衡を促進し、ひいては中央政府と地方政府の間にも権力分散を拡大することで「分権と協治」を制度化しなければならない。

例えば、首相を国会で選出させれば、議院内閣制に近い高強度の分権になる。 国会で複数で候補を推薦し、大統領が任命するようにするならば、「低強度の分権」だ。このように大統領と首相の間に権力のバランスを取ることができるように調整するだけでも、首相の政治的空間を広げることができる。そこに長官の国会同意制、国務会議の議決機構化を加えれば、責任長官を通じた国政の連続性を図ることができる。

憲法裁判所・最高裁・監査院など憲法機関の長および構成員に対する大統領の人事権を制限することも分権型改憲の主要課題だ。例えば憲法裁の場合、大統領・国会・最高裁で各々3人を選任する現行のやり方では大統領が国会と最高裁に及ぼす影響力を遮断するのは難しいため、推薦委員会を通じて最終的には国会で選出するものの在籍議員3分の2以上の賛成を必要とするようにすれば中立性確保が強化される。憲法改正と法律案に対する国民発案制、国会議員に対する国民召喚制の導入も必要だ。

改憲を実現するには社会的合意が重要だ。「分権」に焦点を合わせ、段階的・選択的・節制的アプローチができるだろう。その場合でも一部で取り上げる大統領任期や大統領選挙・総選挙周期合わせなどのワンポイント改憲、大統領選挙前の超短期改憲、改憲手続き法優先などの主張は憂慮される。例えば、分権のない4年重任制は災いに近い。このような主張は12・3ショックなどを考慮しても目前の政治懸案に汲々として偏向したものと誤解されやすい。40年近く改憲が不可能だったという理由から改憲手続きで国民投票を省略するなど、改憲の行き過ぎた軟性化の主張も慎重でなければならない問題だ。国民も改憲案を発議し、国会議員の発議要件も緩和するなど、改憲論議を活性化する案は可能だ。

大韓民国は、憲法問題を政治権力が統制するにはあまりにも躍動的な社会になった。分権型改憲は帝王的ではなく正常な大統領制を確立し、完全な民主共和国を復元することだ。現実政治では失敗したが、アテネの民主政とローマの共和政の理念はこれまで人類文明の土台を成している。その核心は、共同体構成員の意思を収れんする柔軟な手続きと公職者の強大な権力を抑制する装置だ。そのような構造が、法が確保する圧倒的権威の源泉だ。「より良い憲法」作りが究極的には与野党政界に劣らず市民の参加と対話を前提にしなければならない理由はここにある。「法の支配」を自分には法が適用されない「法による支配」と勘違いする自称エリート政治家だけに改憲を任せておくことではない。

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パク・ウンジョン/梨花女子大学名誉教授・元国民権益委員会委員長



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