人手不足倒産、2年連続で過去最多更新!建設業・物流業を中心に深刻化

深刻な人手不足による企業倒産が、歯止めがかからない状況となっています。帝国データバンクの最新調査によると、2024年の人手不足倒産は342件と、2023年の260件から大幅に増加し、2年連続で過去最多を更新しました。この状況は、日本経済にとって大きな警鐘と言えるでしょう。

人手不足倒産、何が原因? 高齢化と2024年問題の影響

人手不足を感じている企業の割合は、2024年12月時点で52.6%と依然として高い水準です。新型コロナウイルス感染拡大の影響で一時的に緩和したものの、2020年以降は再び急上昇し、高止まりが続いています。団塊世代の高齢化が進む「2025年問題」も、この状況に拍車をかけています。

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特に深刻なのが、時間外労働の上限規制が適用された「2024年問題」に直面した建設業と物流業です。これら2業種だけで、人手不足倒産全体の約4割を占めています。

建設業・物流業で深刻化する人手不足、その背景とは?

建設業では99件と最も多く、次いで物流業が46件と、人手不足倒産の件数が突出しています。建設業は景気が比較的良好にも関わらず、毎月勤労統計では総実労働時間や出勤日数が減少傾向にあります。時間外労働の上限規制に加え、そもそも人手不足のために労働時間が減っているという現状が浮き彫りになっています。

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加えて、建設業の高齢化も深刻です。60歳以上の割合は建設業が23.9%と全業種平均を大きく上回っています。物流業も18.6%と比較的高く、50歳以上は約半数を占めています。

飲食・美容・警備… 多様な業種に広がる人手不足の波

建設業・物流業以外にも、飲食店(16件)、美容業(9件)、労働者派遣業(8件)、警備業(6件)など、様々な業種で人手不足倒産が増加しています。

「人材不足はもはや特定の業種だけの問題ではなく、日本経済全体に関わる深刻な課題です。」と人事コンサルタントの山田一郎氏は指摘します。「企業は、労働環境の改善や人材育成、業務効率化など、抜本的な対策を講じる必要があるでしょう。」

今後の展望と課題:省力化・効率化が急務

建設業と物流業では、今後も労働時間と就業者数の増加は見込みにくいため、省力化・効率化が急務です。AIやロボット技術の導入、業務プロセスの見直しなど、生産性向上に向けた取り組みが不可欠です。

人手不足問題は、日本経済の成長を阻害する大きな要因となっています。企業だけでなく、政府や自治体も一体となって、この問題解決に真剣に取り組む必要があります。