名古屋めし、名古屋城、トヨタ自動車のお膝元…魅力的な要素が満載の名古屋。しかし、近年の訪日外国人観光客ブームの中、他の大都市と比べて観光客が少ないのが現状です。一体なぜ名古屋は素通りされてしまうのでしょうか?この記事では、その理由を様々な角度から分析し、名古屋観光の現状と課題を探ります。
ゴールデンルートから外れた名古屋の苦悩
近年、訪日外国人観光客の多くは「ゴールデンルート」と呼ばれる東京、富士山、関西を巡る定番ルートを選ぶ傾向があります。特に初来日の方にとっては、限られた時間の中で効率的に日本の代表的な観光地を巡りたいという思いが強く、地理的にゴールデンルートから外れた名古屋は旅程から外されやすいのです。大阪に本社を置く大手旅行代理店の担当者(仮名:山田太郎氏)は、「初めて日本を訪れるお客様は、東京、京都、大阪といった有名都市を優先する傾向があります。名古屋は交通の便は良いものの、他の都市と比べて際立った観光資源が少ないため、旅程に組み込まれにくい」と指摘しています。
名古屋駅に停車中の新幹線
シンガポールから家族旅行で来日した観光客に話を伺うと、「名古屋は他の都市と比べて特徴がなく、お城以外に見るべき場所が少ない」という意見も聞かれました。彼らは京都、大阪、東京といった都市を既に訪れており、名古屋への期待値が高かっただけに、そのギャップに落胆した様子でした。
宿泊者数は東京の20分の1?観光客誘致の課題
名古屋市は人口230万人を超える大都市ですが、外国人観光客の宿泊者数は他の大都市と比べて大きく遅れをとっています。名古屋市の発表によると、2023年の外国人延べ宿泊者数は約183万人泊。これはコロナ禍前の2019年と比較しても8割程度にとどまっており、東京の20分の1程度という低い水準です。栄や名古屋駅周辺を歩いても、外国人観光客の姿はまばらで、百貨店の担当者も「外国人観光客の回復は鈍い」と現状を嘆いています。
久屋大通公園に立つ中部電力未来タワー
ビジネスホテルの宿泊料金も大阪や京都と比べて低めに設定されていることから、外国人観光客にとって名古屋は魅力的に映っていない可能性が考えられます。名古屋の観光資源は決して少なくありません。しかし、それらを効果的にPRし、外国人観光客のニーズに応じた魅力的な観光プランを提案することが急務と言えるでしょう。
名古屋観光の魅力再発見:新たな戦略で観光客を呼び込め!
名古屋には、名古屋城、熱田神宮、トヨタ産業技術記念館といった歴史的・文化的価値の高い観光スポットだけでなく、ひつまぶし、味噌カツ、手羽先といった独自の食文化も根付いています。これらの魅力を再評価し、外国人観光客に効果的にアピールすることで、名古屋の観光産業を活性化させることができるはずです。例えば、食文化体験ツアーや、歴史と文化を学ぶことができるウォーキングツアーなどを企画し、多言語対応を充実させることで、外国人観光客の満足度を高めることができるでしょう。また、SNSを活用した情報発信や、外国人インフルエンサーとの連携なども有効な手段となるでしょう。名古屋が持つポテンシャルを最大限に活かし、外国人観光客にとって魅力的な都市へと進化していくことが期待されます。