日本の少子化は深刻さを増し、2023年の出生数は70万人を割り込む可能性が高いと予測されています。この人口減少は、あらゆる産業に大きな影響を与えますが、中でも日本の基幹産業である「ものづくり」への影響は計り知れません。今回は、ものづくり大国・日本が直面する人口減少問題の深刻さと、その未来について考えてみましょう。
製造業の人手不足：深刻化する若手離れ
日本の製造業の就業者数の推移を示すグラフ
2022年版ものづくり白書によると、日本の製造業の就業者数は2002年から2021年にかけて157万人減少しました。自動化や海外移転の影響もありますが、最も深刻な問題は若手就業者の減少です。同白書では、34歳以下の就業者が20年間で121万人減少したと報告されています。
この若手離れは、製造業の高齢化を加速させ、技術やノウハウの継承を困難にしています。製造業の魅力が若者に伝わりにくくなっている現状も、深刻な問題と言えるでしょう。 製造現場で働く人のイメージが「きつい、汚い、危険」といった３K思考から脱却できていないことも一因と考えられます。給与面での魅力も他の業種に比べて低いという現状も否めません。
ものづくり大国日本の未来：打開策はあるのか？
日本の製造業の未来について考えるビジネスマン
日本の製造業は、カーボンニュートラル、DX、サプライチェーンの再構築など、様々な課題に直面しています。人口減少は、これらの課題解決をさらに難しくする要因となるでしょう。
製造業の未来を守るためには、若者の関心を高め、製造業の魅力を再認識させる必要があります。例えば、先進技術を活用したスマートファクトリーの導入や、働き方改革による労働環境の改善などが有効な対策となるでしょう。
また、中小企業の技術力向上や、異業種との連携による新たなイノベーションの創出も重要です。「地域未来牽引企業」の育成、サプライチェーンの強靭化なども今後の課題と言えるでしょう。
製造業の活性化は、日本経済の未来を左右する重要な課題です。産官学が一体となり、持続可能なものづくりを目指していく必要があります。
経済アナリストの山田一郎氏は、「人口減少は日本の製造業にとって大きな脅威ですが、同時に新たなイノベーションを生み出すチャンスでもあります。AIやロボット技術の活用、働き方改革など、様々な取り組みを通じて、持続可能なものづくりを実現していくことが重要です。」と述べています。
日本のものづくりは、これまで幾多の困難を乗り越えてきました。人口減少という新たな難題に立ち向かい、未来を切り開くために、今こそ、私たち一人ひとりがものづくりの重要性を再認識し、その未来に目を向ける必要があるのではないでしょうか。
