北海道ニセコ、世界的に有名なパウダースノーの聖地。ウィンタースポーツ愛好家にとっては憧れの地ですが、近年、この楽園に暗い影を落としているのが「海賊スキースクール」の存在です。今回は、その実態と問題点に迫ります。
海賊スキースクールの巧妙な手口
ニセコアンヌプリのスキー場では、許可なく格安で外国人観光客にスキーレッスンを提供する、いわゆる「海賊スキースクール」が横行しています。彼らはスマホを使って予約や支払いを済ませ、母国語で指導を行うため、一見すると友人同士の滑走と区別がつきにくく、摘発が困難となっています。
ニセコエリアのスキー場
ニセコユナイテッドは、全山共通リフト券を販売し、42校の認定スキースクール制度を運営しています。認定を受けるには、日本法人であること、代表者が資格を保有していること、インストラクター登録10人以上、傷害保険加入、就労許可の取得、日本語対応可能な常勤スタッフの雇用など、厳しい基準が設けられています。しかし、海賊スキースクールはこれらの規定を一切無視し、違法行為を繰り返しているのです。
スキー場運営側の苦悩と対策
ニセコ東急グラン・ヒラフの担当者は、「利用客には認定スクールを利用するよう呼びかけていますが、海賊スキースクールとの見分けが難しく、効果的な対策が打てていないのが現状です」と語ります。監視員が声をかけても、「友達と滑っている」「家族だ」「お金はもらっていない」とシラを切り通すケースがほとんどで、まさに“いたちごっこ”の状態です。
160人の外国人インストラクターを雇用するニセコビレッジの担当者によると、海賊スキースクールのインストラクターは偽名でリフト券を購入したり、服装を頻繁に変えたり、監視員の写真を共有するなど、巧妙な手口で身元を隠蔽しているといいます。彼らはSNSで各地のスケジュールを公開し、客を集めながら転々としているようで、納税の有無や在留資格も不明です。レッスン料金は正規スクールの半額以下で、価格競争でも圧倒的な優位に立っています。
専門家の見解
スキーリゾート開発コンサルタントの山田一郎氏(仮名)は、「海賊スキースクールは、スキー場の安全性を脅かすだけでなく、健全なスキー文化の育成を阻害する深刻な問題です。行政や警察との連携を強化し、早急な対策が必要です」と警鐘を鳴らしています。
海賊スキースクールの蔓延を防ぐために
スキーブームの高まりとともに、海賊スキースクールの問題はニセコだけでなく、全国各地に広がる可能性があります。スキーヤーの安全確保と健全なスキー文化を守るためにも、関係機関の連携強化、情報共有、そして利用者一人ひとりの意識向上が求められています。
まとめ:ニセコの未来を守るために
ニセコの魅力である雄大な自然とパウダースノーを守るためには、海賊スキースクール問題への対策は不可欠です。私たち一人ひとりが問題意識を持ち、正規のスキースクールを利用することで、安全で楽しいスキー体験を共有し、ニセコの未来を守っていきましょう。