「なぜ?」「どう?」は危険信号!対話のプロが指摘する「最悪の質問」とは

「なぜ、そう思うの?」といった「なぜ?」という問いは、論理的思考を促す良い質問だと一般的には考えられています。「なぜなぜ分析」などもその代表例です。しかし、40年にわたり「良い質問」を磨き続けてきた対話のプロは、「なぜ?」「どうして?」は致命的な「解釈のズレ」を生み出し、会話を成り立たなくさせる「最悪の質問」だと断言します。事実と解釈の違いを理解しない限り、「曇りガラス」から抜け出せないというのです。新刊『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』から、その衝撃的な事実と具体的なNG質問についてご紹介します。

対話のプロが指摘する「なぜ?」や「どう?」といった質問のイメージ図対話のプロが指摘する「なぜ?」や「どう?」といった質問のイメージ図

「なぜ?」が最悪の質問と言われる理由

質問には良いものとそうでないものがありますが、その代表格が「なぜ?」「どうして?」という問いです。これが良くない第一の理由は、相手の「思い込み」を引き出し、それがコミュニケーションのねじれにつながるためです。さらに、これにはもう一つ致命的な欠点があります。

子どもへの「どうでしたか?」もNGなワケ

具体的な例として、子どもがテストから帰ってきた場面を考えてみましょう。親として結果を知りたい気持ちはありますが、特に思春期の子どもに「テスト、どうだった?」とストレートに聞くのは非常にデリケートです。出来が良ければ自分から話す子も多い一方で、正直出来が悪く、あまり話したくないと感じている可能性もあります。

この「テスト、どうだった?」という聞き方は、実は決して良い質問ではありません。なぜなら、相手が「質問に答えたくない」と思っている可能性を無視し、回答を強制するリスクがあるからです。親にとっては気軽に聞ける「どう?」という質問は、相手に負担を強いる、いわば「怠惰な質問」なのです。「なぜ?」と同様、「どう?」もまた控えるべき質問と言えるでしょう。

このように、「なぜ?」や「どうでしたか?」といった一見自然な質問は、相手の思い込みを引き出したり、答える側の負担を増やしたりするなど、会話において多くの問題を引き起こす可能性があります。「対話のプロ」は、これらの質問を避けることが、より建設的なコミュニケーションを築く上で不可欠であると指摘しています。賢い質問の方法は、事実に基づいた問いかけにあると言えるでしょう。


参考文献