和歌山県に住む女性Aさんは、日本維新の会から今夏の参院選和歌山選挙区での立候補を表明している浦平美博氏(53、現・和歌山県議会議員)の名前をニュースで目にするたび、深い苦痛を感じている。浦平氏の高校教師時代の行為により、Aさんの息子は重傷を負った過去があるからだ。Aさんは「あんなむごたらしいことをした人が国政選挙に出るとは言葉がない」と訴える。被害を受けた息子さんも、今なお浦平氏を許せないでいるという。
生徒への傷害事件の詳細
事件が発生したのは2003年3月。当時、浦平氏は県立和歌山北高校の体育教員であり、剣道部の顧問を務めていた。Aさんの息子は同部の部員だった。事件当日、息子さんが練習メニューの300mトラック10周のうち1周しか走らずにサボったことが、浦平氏の逆鱗に触れたとされる。息子さんは「教官室」に連れて行かれ、浦平氏から激しい暴行を受けた。
当初は竹刀で臀部を何度も殴られた。あまりの力で竹刀が折れると、今度は木製バットで殴り始めたという。当時の報道では殴打回数は30~50発とされたが、Aさんはそれ以上だったはずだと語る。息子さんの臀部の皮膚は壊死し、脂肪が剥き出しになるほど傷つき、50cmほどにわたって焼けただれたように赤黒く腫れ上がった。まともに歩くこともできない状態だったにも関わらず、浦平氏は傷口を見ながらも救急車を呼ばなかった。息子さんは自力でタクシーを呼び帰宅したという。
参院選出馬を表明した日本維新の会・浦平美博氏。過去の生徒への体罰傷害事件について語る
被害者の深刻な怪我と法廷へ
帰宅した息子さんの様子に驚いたAさんは、すぐに総合病院へ連れて行った。しかし、医師からは「大変なことになっている。うちでは扱えないので、医大に緊急搬送します」と告げられた。息子さんは救急車で大学病院に運ばれ、集中治療室(ICU)に入った。医師からは「お尻の筋肉がボロボロになって、体液や血液に混じって身体中を巡っている。このままだと、筋肉のかけらが腎臓に詰まって腎不全になってしまう」と説明されたという。
息子さんは全治3ヵ月の重傷を負った。この事態を重く見た和歌山県警が捜査に乗り出し、事件は刑事事件へと発展した。浦平氏には県の教育委員会から停職4ヵ月の処分が下されたものの、2004年10月、浦平氏には傷害罪で懲役1年6ヵ月、執行猶予3年の有罪判決が下された。民事については、裁判中に示談金として100万円が提示されたが、最終的には10万円の支払いで調停が成立している。Aさんは、この示談金提示が裁判で刑を軽くしたい意図だと感じたという。
今なお癒えぬ被害者の傷
被害を受けたAさんの息子さんは、電話取材に対し、浦平氏について「忘れないし、今でも許していません」と語った。しかし、あまりにも激しく殴られたため、事件のことは「痛かった」という記憶しかなく、詳細な記憶がないという。怪我は綺麗に治らず、今もケロイド状の傷跡が残り、皮がつっぱる後遺症に苦しんでいる。
息子さんは、形式的には浦平氏から謝罪を受けたものの、心から反省しているとは思えないと感じている。浦平氏が参院選に出馬することについては「もう、何を言っても無駄だと思っています」と諦観を見せた。彼は浦平氏とは一生関わらずに生きていきたいと願っているが、今でもふとした瞬間にあの日を思い出してしまうと、その苦悩を明かした。
浦平氏自身の説明と回答
浦平氏はFRIDAY誌の対面取材申し込みに対し、書面で回答を寄せた。竹刀で臀部を殴打したことは事実であると認め、当時の練習メニューをサボり、さらにその事実を他の生徒の指示だと嘘をついた息子さんの行為を知り、「人一倍目にかけてきた」だけに裏切られたと感じ、激怒して殴ってしまったと説明した。しかし、生徒の命を預かる教師としては「あまりにも短絡的かつ軽率な行動であり、深く反省しています」と記している。
弁済や事件の解決については、民事、刑事裁判を通じて解決済みであるとの認識を示した。一方で、被害者である息子さんとその家族が受けた傷は生涯癒えるものではないとし、「謝罪の念を一生持っていて、心の中では、『申し訳ない』と言い続けるしかありません」と述べた。
この回答の数日後、FRIDAY誌は県議会へ向かう浦平氏を直撃取材した。息子さんへの贖罪は済んだのかという問いに対し、浦平氏は「回答は書面でした通りでございまして。それ以上でも以下でもないです」と繰り返した。息子さんと家族が今も傷を負っていることには、「謝り続けることしか、私の中には方法が残っていません」と答えた。Aさんたちが政治家としての資質に疑問を持っていることについては、「直接お会いさせていただいて、お詫びを申し上げたいなという風に思います」と述べるにとどまり、謝罪の言葉を繰り返しながら議場へと向かった。
日本維新の会の見解
浦平氏が起こした事件を把握しているのか、なぜ公認するのかについて、日本維新の会に質問状を送付したところ、以下の回答があった。「傷害罪で刑事、民事で裁判があった事実関係は承知している。浦平支部長には改めて過去の行いを反省し胸に刻んで、公に奉仕することで罪滅ぼしを続けてもらいたいと考えています」。
被害者親子の悲痛な訴えを、有権者はどのように受け止めるのだろうか。
出典:『FRIDAY』2025年7月18日・25日合併号
Source link: https://news.yahoo.co.jp/articles/4795f88add0d50b3b8d4ecfbc0f6583b7a1dbea8