韓国の左派勢力が、チョ・グク前法相のスキャンダルをめぐる検察の捜査を「不当だ」と訴えて「200万人」を集めたと主張すれば、文在寅(ムン・ジェイン)政権への非難を強める右派勢力は「300万人」を動員したと張り合う-。左右両陣営がデモや集会を繰り広げ、民意という“錦の御旗”を奪い合うなか、携帯電話会社のビッグデータを活用し、デモの実態を把握しようという新たな手法が登場。デモ参加者数をめぐる虚実と、世代間の特徴を浮き彫りにしている。(外信部 時吉達也)
■ソウル地検前に集結
文在寅大統領が8月上旬に青瓦台(大統領府)の要職、民情首席秘書官を務めたチョ・グク氏を法相に指名してから2カ月弱。娘の大学入試不正疑惑などチョ氏の家族をめぐるスキャンダルが噴出する中、政権を支持する左派勢力が攻勢に転じたのが、9月28日の大規模集会だった。
チョ氏をめぐり、政治性を帯びた不公正な捜査が行われていると主張する参加者が、捜査を担うソウル中央地検前の通りを埋めつくした。
上空から撮影された写真は、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の親友による国政介入事件をめぐる2016年の抗議集会をほうふつさせ、主催者は参加者が「200万人」に上ったと発表。左派系紙ハンギョレは「3年前のロウソク集会に次ぐ規模だ」と伝えた。
「検察改革を要求する国民の声が非常に大きい」。文大統領も集会を受けて、検察の捜査を牽制する発言に踏み込んだ。
■野党「こっちは2000万人」
野党勢力も黙っていなかった。10月3日には、大統領府に近いソウルの中心地、光化門広場などでチョ氏の法相就任に反対する集会が開かれ、最大野党の自由韓国党は参加者数を「300万人」と発表した。
保守系の中央日報は、「(9月28日の左派集会と比べて)より規模が大きいと一目で分かる」「現在の民意がどこにあるのかを示した」と評価。同党の羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)院内代表は、「(左派の集会参加者数が)あれで200万人というなら、こっちは2000万人だ」と息巻いた。