働き方が多様化する中、従業員が自家用車で業務を行うケースも少なくありません。公共交通機関利用時は交通費の基準が明確ですが、自家用車の場合は各企業の就労規則に基づいて支給額が決まるのが一般的です。そのため、ガソリン代などの補助が適当か判断しづらいと感じることもあるでしょう。
本記事では、月2万円のガソリン代支給で自家用車を業務に使用するケースについて、妥当性を考える際に押さえておきたいポイントを解説します。
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ガソリン代一律月2万円の支給額は適当か
ガソリン代の支給額は企業によってさまざまですが、「ガソリン単価÷平均燃費×走行距離」といった算式を用いると、具体的な金額が算出しやすくなります。この方法なら、軽自動車やハイブリッド車など、車種や燃費に応じた支給が可能となり、より実態に合った額を算出できるでしょう。
例えば、TOYOTAヤリスクロス ハイブリッド車 2WDモデル(燃費30.8キロメートル/リットル)で、毎月700キロメートル走行すると仮定します。
資源エネルギー庁が公表している2025年2月17日時点の全国平均ガソリン単価184.4円/リットルで計算すると、
700キロメートル÷30.8キロメートル/リットル=約22.7リットル
22.7リットル×184.4円/リットル=約4186円
このように、ガソリン代は月4200円程度となり、月2万円の支給で十分にカバーできることが分かります。
車両の維持費と減価償却を考慮する重要性
自家用車を業務に使用する際には、ガソリン代以外にもさまざまな費用を考慮する必要があります。例えば、車を頻繁に走行させると、タイヤやオイルなど消耗品の劣化が早まります。
一般的に、タイヤ交換は3年または3万キロメートルごと、エンジンオイル交換は1万5000キロメートルまたは1年ごとが一般的な目安とされています。あくまで参考値であり、車種や使用状況によって異なりますが、走行距離が増えれば交換頻度も上がり、維持費負担が大きくなるでしょう。
加えて、走行距離が増えるほど車両の価値は下がっていきます。中古車査定では、年間1万キロメートル前後の走行が目安とされ、それを上回ると評価が下がる傾向があるため、自家用車を業務で使う場合は、こうした価値の目減りも念頭に置いておく必要があります。