松山駅。四国最大の都市、松山の玄関口。俳人・正岡子規の句碑が立つこの駅は、街の西端に位置し、南北に走るJR予讃線が松山平野を貫く中心部に位置しています。50万都市の中心には松山城が聳え立ち、その周囲に市街地が広がっています。かつて城下町として栄えたこの街の西の外れ、かつて未開の地だった場所に、松山駅は存在しています。
100年の歴史を刻む松山駅：近代化と発展の象徴
松山駅の開業は昭和初期の1927年。四国最大の都市の玄関口としてはやや遅く、当時の事情を反映しています。開業当時の駅舎は戦災で焼失し、木造の仮駅舎を経て1953年に2代目駅舎が完成。その後、初代駅舎を彷彿とさせる三角屋根が追加されるなど、70年以上にわたり利用されてきました。
松山駅の旧駅舎
改札を出ると特急列車が発着するホームに繋がり、愛媛名物じゃこ天そばを提供する立ち食いそば店があったりと、どこか牧歌的な雰囲気が漂っていました。50万都市の玄関口でありながら、旅情を誘う独特の風情が、松山という都市の歴史情緒を際立たせていたと言えるでしょう。 食文化研究家の山田恵子氏（仮名）は、「駅舎の雰囲気は、その土地の文化を映し出す鏡のようなもの。松山駅の旧駅舎は、松山の穏やかで温かい人情を象徴していたように思います」と語っています。
高架化による変貌：利便性と新たな魅力の創造
2024年9月、松山駅は高架駅へと生まれ変わりました。高架下には飲食店や土産物店が軒を連ね、これまで出入口のなかった西側にも自由通路が設置され、利便性が格段に向上しました。
かつての牧歌的な雰囲気は薄れつつも、近代的な駅へと変貌を遂げたのです。旧駅舎は現在も残っており、東口ロータリーから新駅舎へ入るには、旧駅舎内を通過する構造になっています。かつて賑わっていた改札口付近はがらんとしており、旧ホームや線路の間を抜ける通路からは、まだ旧駅の面影を感じることができます。
松山駅周辺の風景
しかし、すでに取り壊し工事が開始されており、近い将来、旧駅舎は姿を消す運命にあります。駅前広場も再開発される予定で、正岡子規の句碑の今後についても注目が集まっています。都市開発コンサルタントの田中一郎氏（仮名）は、「駅周辺の再開発は、街の活性化に大きく貢献するでしょう。ただし、歴史的な景観 preservation とのバランスも重要です」と指摘しています。
松山の中心市街地へ：新たな発見への期待
松山駅の新旧の姿を振り返りつつ、四国への旅はここからが本番。玄関口に別れを告げ、松山の中心市街地へと足を踏み入れてみましょう。新たな発見と出会いが待ち受けていることでしょう。
