スターバックス。街の風景に溶け込み、多くの人にとってなくてはならない存在ですよね。日本では絶好調のスタバですが、世界では苦戦しているというニュースも耳にします。一体なぜでしょうか?長年、世界中のスターバックスを利用してきた筆者が、その理由をマーケティングの視点から紐解いていきます。
世界のスタバは試練の時?リストラやメニュー縮小の波
米国スターバックスでは、2024年に1100人もの人員削減を発表しました。本社や管理部門が中心で、数百件の採用予定もストップ。さらに、ヴァイスプレジデント以上の役職者には週3日の出社義務も課せられています。
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また、売れ行きが悪い商品や、作るのが難しいドリンクをメニューから外す動きも。フラペチーノの一部やロイヤルイングリッシュブレックファストラテなどがその対象となりました。顧客の待ち時間を減らし、効率化を図るのが狙いだといいます。
これらの動きは、業績回復のための苦肉の策と言えるでしょう。では、スターバックス全体の業績はどのような状況なのでしょうか?
スタバの業績を徹底分析!日本と世界の明暗
2024年9月期のスターバックスの全世界での売上高は、日本円換算で約5兆4264億円。前年度比100.6%と、かろうじて前年を上回った程度です。原価は減少したものの、販管費が増加したため、営業利益は前年度比で8%弱の減少、純利益も8.8%減となりました。
営業利益率15%程度を維持しているとはいえ、これまでの好調ぶりとは明らかに異なる状況です。
日本市場の独自戦略とは?
一方、日本では依然として高い人気を誇るスターバックス。その理由は、スターバックスのミッションへの忠実さにあると筆者は考えています。「人々の心を豊かで活力あるものにするために — 一人のお客様、一杯のコーヒー、そして一つのコミュニティから」というミッションを、日本独自のサービスで体現しているのです。
例えば、日本のスタバでは、季節限定のドリンクやフード、地域限定の商品などを積極的に展開。顧客のニーズを的確に捉え、常に新しい体験を提供することで、顧客の心を掴んでいます。また、丁寧な接客や居心地の良い空間づくりも、日本のスタバの強みと言えるでしょう。
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スタバの未来はどこへ?今後の展望
世界的に見ると、スターバックスは新たな局面を迎えています。変化の激しい市場環境の中で、どのようにして成長を維持していくのか、今後の戦略が注目されます。日本市場の成功事例を参考に、グローバル戦略を再構築していくことが求められるでしょう。
フードビジネスコンサルタントの山田一郎氏(仮名)は、「日本のスターバックスの成功は、顧客体験を重視した戦略にある」と指摘します。「高品質な商品だけでなく、空間演出や接客サービスなど、五感に訴える体験を提供することで、顧客のロイヤリティを高めている」とのこと。
世界と日本のスタバの現状を比較することで、それぞれの課題と成功要因が見えてきます。今後のスターバックスの動向に、引き続き注目していきましょう。