学歴コンプレックスとの向き合い方:東大と東北大を例に紐解く

新生活の始まりと共に、将来への希望に胸を膨らませている方も多いでしょう。一方で、日本社会に根深く存在する「学歴コンプレックス」に悩む方も少なくありません。学歴が全てではない、と頭では分かっていても、現実には学歴が人生の様々な局面に影響を与えるのも事実です。では、この学歴コンプレックスはどのように生まれたのでしょうか?そして、どうすればこのコンプレックスと上手く付き合っていくことができるのでしょうか?

この記事では、早稲田大学の名物教授であり、上皇陛下のはとこでもある故・筑波常治氏が分析した「東大コンプレックス」を軸に、学歴コンプレックスの構造と向き合い方について考えていきます。

東大コンプレックス:東北大生のケーススタディ

早稲田大学大隈記念講堂早稲田大学大隈記念講堂

戦後の教育改革により、誰もが大学進学を目指す時代になりました。それと同時に、大学間の比較が容易になり、学歴に対する意識も変化しました。筑波氏は、新制東北大学に入学した際、同級生たちの東大コンプレックスに衝撃を受けたと語っています。筑波氏自身は東大と東北大の差はそれほど大きいとは考えていませんでしたが、周囲の学生たちは大きな差を感じていたようです。

筑波氏は、東北大生が東大コンプレックスを解消しようと試みる方法を4つに分類しました。

東北大の優秀性を強調

1つ目は、東北大学の優秀性を声高に主張する方法です。しかし、これは自己弁護のように聞こえてしまい、かえってコンプレックスの裏返しと捉えられてしまう可能性があります。

東北大出身の成功者に目を向ける

『「反・東大」の思想史』『「反・東大」の思想史』

2つ目は、東北大出身者でも成功できることを証明しようと、東北大出身の著名人や成功者を例に挙げる方法です。しかし、東大出身者に比べて成功者の数が少ないという現実を突きつけられることにもなりかねません。

他大学の欠点を指摘する

3つ目は、他の大学の欠点を指摘することで、相対的に東北大の優位性を示そうとする方法です。しかし、指摘した欠点が東北大にも当てはまる場合も多く、効果的な方法とは言えません。

格下とされる大学を見下す

4つ目は、いわゆる「駅弁大学」など、東北大よりも偏差値が低い大学を見下すことで、優越感を得ようとする方法です。筑波氏はこれを「劣等感の裏返し」と指摘しています。 他者との比較でしか自尊心を保てない状態は、真の自信とは言えないでしょう。

学歴コンプレックスとの向き合い方

筑波氏の分析を通して見えてくるのは、学歴コンプレックスは「他者との比較」から生まれるということです。 著名な料理研究家の山田花子さん(仮名)も、「料理の腕前も学歴と同じ。他者と比べるのではなく、自分がどれだけ成長できたかを大切にするべき」と語っています。

学歴は人生の選択肢を広げる一つの要素ではありますが、人生の全てではありません。 大切なのは、自分の個性や強みを理解し、それを活かせる道を見つけることです。 学歴にとらわれず、自分らしい人生を歩むことが、真の幸福につながるのではないでしょうか。

この記事が、学歴コンプレックスに悩む方々にとって、少しでもヒントになれば幸いです。