【カイロ=佐藤貴生】トルコがイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)に加わった者を欧米の出身国に送還すると表明した問題で、トルコ内務省は14日、米国が同意したとして同国に戦闘員の男1人を送還する方針を示した。ロイター通信が伝えた。ISの戦闘員や家族の受け入れをめぐり、対応が割れている欧州などで議論が活発化しそうだ。
報道によると男はアラブ系米国人とみられる。トルコは11日、身柄引き受けを隣国ギリシャに依頼したが拒否され、男がトルコ側国境周辺で立ち往生していると伝えられていた。
一方、トルコのソイル内相は13日、ドイツとオランダがIS関係者の送還に同意したと述べた。ソイル氏は両国に謝意を表明し、出身国への送還を「妥協せずに実行する」と述べた。トルコ・イスタンブールの国際空港では13日、女性とみられる黒装束の数人が出国する飛行機に乗り込む様子が流れた。
また、英国の警察当局は14日、トルコから空路で到着した26歳の男を逮捕したと述べた。シリアとつながりがあり、テロを企てる疑いがあったとしている。トルコ政府が出国させたIS関係者かどうかは不明。
トルコ政府は11日、欧米からISに合流した計25人を本国に送還する意向を表明。国内施設でIS戦闘員ら1200人を収容しているほか、シリア北部への越境攻撃を経て290人の民兵を拘束したと述べており、人数が増える可能性もある。
ソイル氏は「トルコはISのホテルではない」と述べ、欧州などの出身国に身柄引き受けを強く求めてきた。