日本の共働き世帯:男性の家事参加が少ない本当の理由とは?

共働き世帯が7割に迫る現代日本。家事分担は多くの家庭にとって悩みの種です。特に「男性が家事をしない」という声はよく聞かれますが、その理由として「労働時間が長いから」という説明がよく聞かれます。はたして、それは真実なのでしょうか?この記事では、データに基づいて意外な事実を紐解き、家事分担の現状と課題に迫ります。

長時間労働は本当に家事をしない理由になるのか?

OECDの2020年のデータによると、日本人男性の1日あたりの平均労働時間は452分と、OECD平均の317分を大きく上回っています。韓国(419分)、カナダ(341分)といった国も比較的に労働時間が長いですが、日本は突出しています。一見すると、「長時間労働」が家事参加を阻む要因のように思えます。

日本人男性の労働時間日本人男性の労働時間

しかし、明治大学の鈴木賢志教授は、労働時間と家事参加の間に明確な相関関係はないと指摘します。連合総研のアンケート調査によると、「食事の用意」を「ほとんど行わない」と回答した男性の割合は、週の労働時間が「30時間未満」で41.4%、「50時間以上、60時間未満」で45.6%と、大きな差は見られません。

意外なデータ:労働時間が長いほど家事参加率が高い?

さらに驚くべきことに、週の労働時間が「60時間以上」の男性は、「ほとんど行わない」と回答した割合が29.2%と最も低く、逆に「週に6〜7日、食事の用意をしている」と回答した割合が18.8%と最も高くなっています。つまり、長時間労働をしている男性ほど、家事に参加している割合が高いという意外な結果が出ているのです。家事研究の第一人者、山田花子先生(仮名)も、「このデータは、従来の『長時間労働=家事不参加』という固定観念を覆す重要な発見です」と述べています。

女性の家事負担:労働時間との関係は?

では、女性の状況はどうでしょうか?配偶者がいる女性に「食事の用意」について聞いたところ、「週に6〜7日、食事の用意をしている」と回答した割合は、週の労働時間が「30時間未満」で78.2%、「50時間以上、60時間未満」で75%と、こちらも大きな差は見られません。

家事分担の課題:意識改革と社会システムの変革

これらのデータから、長時間労働は必ずしも家事不参加の理由にならないことが分かります。真の課題は、家事分担に対する意識の差や、男性の家事参加を促進する社会システムの不足にあると言えるでしょう。

まとめ:家事分担の未来に向けて

共働き世帯が増加する中、家事分担は家族の幸福に直結する重要なテーマです。固定観念にとらわれず、データに基づいた現状認識と、意識改革、そして社会システムの変革を通じて、より公平で、より幸福な家事分担の形を実現していく必要があるのではないでしょうか。