ザ・当事者と言うが
立憲民主党の野田佳彦代表は、食料品の消費税率を原則1年間に限ってゼロに引き下げることなどを7月の参院選の公約に盛り込む考えを示した。2012年に段階的な消費増税を首相として決めた当事者だけに、意外と受け止められる結論だが、野党第一党の党首として背に腹は代えられない決断だったようだ。
野田氏は民主党政権を率いていた2012年、社会保障と税の一体改革に伴って自民・公明両党と3党で合意し、税率を10%にまで段階的に引き上げることを決めた当事者だ。
野田氏自身、今回の発表の際に「私は社会保障と税の一体改革を推進したザ・当事者だ。財政規律を重視する立場だが、財政規律ばかり考えていたら国民生活にゆがみが出る可能性がある。現実の生活が厳しい時には現実的な対策も取る。結論が出たらまとまろうとすべての議員と共有していたのでまとまって行動できると確信を持っている」などと述べた。
野田氏の“変節”は意外
「野田氏の“変節”は意外でした。同じ党の枝野幸男最高顧問は“減税ポピュリズムに走りたい人は、別の党をつくればいい”と発言していました。党内の減税派を強くけん制する発言で、野田氏についても“最終的に減税方針を打ち出さないだろう”と漏らしていました。党内に様々な意見があり、党を割らないためにどうすれば良いかということで選択したのが今回の案とされています」
と、政治部デスク。
「消費税の扱いをめぐって、日本維新の会や国民民主党など多くの野党のも税率引き下げを主張しています。特に国民民主については衆参両院の議席で大きく水をあけているのに政党支持率で遅れを取っており、野田氏はそれを問題視したと見られています」(同)
野田氏の今回の決断に関しては、自公与党から辛辣な言葉が漏れてきた。
自民党の森山裕幹事長は「消費税を下げるとすれば下げた分の財源をどこに求めるかということが対でないといけない。1年間の限定だったら税率を下げるのではなく、別にやれる方法があるのではないか」などと述べた。実際、1年間限定であれば給付金のほうがメリットが大きい世帯は多い。