若者の退職手段の王道になりつつある、退職代行サービス。業界最大手「退職代行モームリ」によると、2025年5月7日(GW明け)の利用者は、256名。新卒利用者は30名(全体の約12%)となっている。
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一般的な社会人の感覚からすると、入社1カ月で会社に見切りをつけるのは「早すぎる」と感じる方が大半だろう。
これは補足だが、退職代行モームリを利用して4月1日に離職した134名のうち、新卒利用者(つまり会社を1日で辞めた)は計5名。単純すぎる計算ではあるが、GW明けに6倍にまで急増している。
また、前月4月1日〜30日までの同サービス利用者は2729名で、新卒利用者は388名(全体の約14%)だった。
退職代行サービスに対して、「逃げ癖がつくのではないか」「若者を甘やかしすぎている」「情弱ビジネス」といった懸念の声は少なくない。しかしその一方で、「ブラック企業から逃れるための手段でありセーフティーネット」「バックレるよりマシ」「家事代行みたいなもんでしょ」といった肯定的な声も多い。
筆者はライターとして、さまざまなビジネスパーソンや企業に働き方関連の取材をしている。また、実体験として、(元)勤務先を相手に2回裁判をしたこともある。そういった背景を持つ社会人のひとりとして先に結論を述べると、私は退職代行を使って離職することは、老若男女問わず「ブラック企業に就職した場合はアリ」だと考えている。
それはなぜか?
■2回の不当解雇。会社を辞めなかった「ツケ」
ところで、退職代行の賛否について考えるとき、私はいつも「もしあの頃に退職代行があったら」といった想像をする。私は退職代行を利用していたのだろうか。あるいは、利用するべきだったのだろうか……。
あくまで現在の考えだと前置きしつつ、「もし当時、退職代行サービスがあったなら、利用すべき」だと考えている。なぜなら、ブラック企業を辞めなかったことで、私は「ツケ」を支払う必要に迫られたからだ。その「ツケ」とは……2社から「クビ」を宣告されたことだ。