「米の直接販売はスーパー価格より高くなる」赤字の米農家を継いだ東大卒イマドキ農家が明かす“価格のカラクリ”とは《一般人が知らないコメ流通事情》


【写真】米利休氏とじいちゃんとのツーショット

 そうSNSで発信したのは、赤字経営の祖父の米農家を継ぎ、「稼げる」農業を実現するために奮闘する米利休氏だ。個人販売なのに、「スーパーの価格より高くなる意味がわからない」というコメントが寄せられたという。では、なぜスーパーより直接販売の方が、米の価格が高くなってしまうのか。

 米利休氏の著書『東大卒、じいちゃんの田んぼを継ぐ 廃業寸前ギリギリ農家の人生を賭けた挑戦』(KADOKAWA)から、米の価格設定のカラクリについてお届けする。(同書より一部抜粋して再構成)【全4回の第3回。第1回を読む】

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 米農家として活動するなかで、消費者の方々になかなか理解されないこともあります。例えばお米の価格。近所の農家さんから直接お米を買う方は、スーパーで買うより農家さんから買った方が安いのが当然と思っていらっしゃるのではないかと思います。例えば、スーパーだと5キロで3000~3500円くらいの品種のものが、農家さんから直接購入すると2000~2500円くらいで買える。そうすると3000円のお米は高いという価値基準になってしまいます。

 でも、例えば5キロ4000円のお米は、茶碗1杯(180グラム)だと70円程度なので、高いと言っても相当安いと思います。調理の手間はかかりますが、パン1個、あるいはコンビニのおにぎり1個と比べても、かなり安いのではないでしょうか。

 生活の観点では、物価の高騰が続いている現代では価格が重要な要素で、より安いものを求めるのは自然な流れでもあるかと思います。しかしながら、日本の農業を守るという観点からいうと、安いだけがすべてではありません。農家の方々の採算が取れることも、ものすごく重要だと思っています。

 2024年、僕は採算が取れる金額で販売することを重視したのですが、その考えでいくと、スーパーの価格帯よりも少し高くなってしまうことをSNSで発信しました。それに対して、「個人で販売するのに、スーパーの価格より高くなる意味がわからない」というコメントをたくさんいただきました。

 農家から買うなら安いというイメージがつきすぎていますが、これにはしっかりと理由があります。個人の農家さんが近所の方に売る分には、販売の手間がかかりません。農協や卸業者よりも高く買ってくれさえすれば、ビジネスとして問題はありません。少なからずプラスにはなるのです。



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