「30代の老害」VS.「50代の老害」転職や中途採用で複雑化する職場の人間関係…あなたは大丈夫?


「年上の部下」「年下の上司」が当たり前の時代に…

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実は紙一重の存在だという「老害」と「メンター(部下の手本となり、成長をサポートする優秀な指導者)」。『メンターになる人、老害になる人。』の著者・前田康二郎(まえだ・こうじろう)氏に、これからの時代の職場や組織における人間関係のポイントを聞く。

◆「社歴の長さ」VS.「人生経験の長さ」…最近の老害は長さによる『長害』がメインに

「老害」という言葉が一般化し始めたのは1970年頃のこと。当時は環境問題として「公害」がよく話題に上っていたので、その公害になぞらえて浸透していったようだ。

年齢や経験をたてに幅を利かせ、周囲に迷惑を及ぼしたり、不愉快な気持ちにさせたりする年配者。当時はそんな印象だった「老害」だが、近頃の事情はもっと複雑だ。

今や多くの企業で年功序列は絶対ではなくなった。ある日突然、ヘッドハンティングで40代のプロ経営者を外部から迎え入れる会社もあれば、50代の会社員が転職をしたら、転職先の上司が30代だったということも珍しくはないのだ。

「例えば50代のAさんの転職先に、30代の上司Bさんがいたとします。Aさんは入社時に、人事から『豊富な経験を生かして、どんどん意見を言ってくださいね』と言われて『よし、やってやるぞ。すぐに結果を出さないと』という気持ちになっている。でもこれは、気を付けたほうがいいんです。

迎え入れる年下の上司のBさんにしてみれば、年上とはいえまだ社内の詳細も知らないAさんに、こちらから尋ねてもいないのに『前の会社ではこうだった』などと入社初日から業務のやり方に意見を言われたら、良い気分はしないでしょう。

そして実際に言われた場合、今度はBさんが『自分が軽く見られないように』と、Aさんに仕事のミスがあった際に『業務改善の提案の前に、まず仕事のミスをなくしましょう』というような発言をしてしまう。

そうなるとお互いに『老害VS.老害』でマウント合戦になってしまい、組織がまとまらなくなってしまいます」(前田康二郎氏/以下同)

最近の「老害」は単に厄介な年配者ではなく、どちらかというと「長害」であると前田さんは言う。この例でいえばBさんは社歴が長く、一方のAさんは人生経験が長い。

「長いというのは長けているということ。長けている人は本来尊敬され、助けになる存在ですが、一部の人にはその反作用が起きてしまっているんです」

ではこのふたりの場合、どうすれば良い関係性を築けたのだろうか。

「Aさんは年長者としての心の余裕を持ち、年齢など関係なく年下の上司の意見をまずは傾聴する。一方のBさんはAさんに対し、部下ではあるけれども人生の先輩として接する。つまり、『何事にも敬意を持つこと』が大切なんです。そうすればお互いが『メンター&メンター』となり、そのチームのパフォーマンスが上がっていきます」

◆被害に遭わないために…覚えておきたいこれだけのこと

Aさんのような転職者が「長害」に遭わないために気をつけたいことをまとめると、以下のようになる。

◇入社初日から転職先の会社のやり方を批判しない

年下の上司といっても、いきなり長害をすることはないはず。新しい職場でまだ関係性が何もできていない状態で、その会社のやり方や上司などの考え方について批判をすると、長害をされる引き金になることも。

「入社先の社員の人たちにはその会社で培った経験値があるので、良好な関係性が築かれないうちに『自分だったらこういうやり方はしない』といった発言をいきなりするのは控えたほうがいいでしょう。

相手から『前職ではどのようにやっていましたか』と尋ねられて、初めて『前職ではこうやっていましたが、なぜこの会社では今のやり方で定着しているのですか』と尋ね、Q&Aを繰り返す中でご自身の知見をお伝えするとよいでしょう」

◇最初から距離を近づけすぎない

人との距離を縮めないこと。状況がわからないうちに一定の人に近づきすぎると、後悔することも。

「第一印象で気が合いそうだなと思っても、最初は敬語でのコミュニケーションからスタートし、『関係性をもう少し近づけても大丈夫だな』と思った場合のみ敬語を外していくなどするのがよいでしょう。

最初から距離を近づけすぎると、しばらくして『少し考え方が自分とは違うかも』と思っても、そこから再び距離をあけるのは難しくなります」

◇円満退職で起業した場合は、事後報告を怠らないこと

最初は応援してくれていた前会社の社長だが、起業がうまくいって有名になったりすると、手のひらを返したように「あいつはうちのやり方を盗んだ、顧客を奪っていった」など、根拠のない情報を流して妨害をするようになることも。

「ちょっとしたすれ違いから、メンターだった人が老害に転じることはよくあります。退職しても定期的に『こうやって頑張っています』と報告しておきましょう。それがおろそかになると、送り出した側が『アイツ、散々面倒を見てやったのに連絡もよこさない』と思う場合があります」



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