備蓄米の流通で、卸売業者がスーパーなどに販売する際の上乗せ額が、通常のコメの流通と比べて最大で3倍を超える金額になっていることが分かり、波紋を広げています。
■卸売業者で“上乗せ3倍”
隅田屋商店 片山真一社長
「業務用店なので売り切れ御免というワケにはいかない。要するに契約のコメではなく、都度足りなくなるのでコメを買い付けに行く。その値段の相場が日に日に上がっている」
こう話すのは、来年で創業120年を迎える老舗コメ店の代表です。まだ備蓄米を仕入れられていないこの店では、5キロ4500円で販売しています。
備蓄米の放出の効果がようやく出始めたとはいえ、コメの価格は依然5キロあたり4000円台と高止まりしている状態です。
備蓄米の流通経路は、JAなどの集荷業者から卸売業者を通して、小売業者に届くというものでしたが、16日に農林水産省が公表した備蓄米の流通にかかわる業者のコストや利益によりますと…。
まず集荷業者から卸売業者の段階では、上乗せ分が60キロあたり961円。これがコストや利益に充てられます。一方で、卸売業者から小売業者の段階では、60キロあたり7593円となっていて、3年前のコメの調査と比べて最大でおよそ3.4倍、上乗せしていることが分かりました。人件費や物流などのコストが上昇していることが理由とみられます。
江藤拓農林水産大臣
「国民の財産である備蓄米を放出している。通常のコメのディール(取引)とは違うということを理解していただいて、できる限り企業努力をしていただければ」
■備蓄米の“流通改善策” 卸通さず小売店へ
同時に政府は、新たな流通経路を発表しました。
江藤農林水産大臣
「備蓄米がよりスピーディーに消費者に届くようにする」
それは集荷業者から卸売業者を通さず、小売業者に直接販売できる新ルールの追加です。
今月末に入札が行われる10万トンのうち4万トンはスーパーへ、2万トンは町のコメ店などに行き渡る予定です。ただし、この新しい流通経路、コメのプロでも経験がないため、不安と期待が入り混じります。
片山社長
「(新しい経路は)どういうふうにしたらいいのか、まだ我々に(やり方などが)おりてきていないので。(全農など)あんな大きな組織と私どもみたいな小さなコメ店が直接、話ができるのかとても不安。その辺をクリアさえしてくれれば、大歓迎は大歓迎」
備蓄米の新たな流通経路で、より広くより早く備蓄米が出回ればコメの価格に変化はあるのでしょうか。
片山社長
「(備蓄米で)高止まりもしたが、下げ止まりもしているのが現状だと思っている。たくさん新米がとれて、お客さまの選択肢が広がった時、価格が動き出してくるのではと思う」
「(Q.いつぐらい?)11月ぐらい」