【05月23日 KOREA WAVE】ソウル市は20日、都心部で捕獲した野生のタヌキとダニから、人間にも感染する「人獣共通感染症」の病原体が検出されたと発表した。見つかった病原体は重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とレプトスピラで、市民の健康への懸念が高まっている。
ソウル市保健環境研究院によると、2024年10月から今年初めにかけて、都心で保護されたタヌキとそこから採取したダニを分析した結果、一部の個体からSFTSウイルス、死骸からはレプトスピラ菌が検出された。
SFTSは主にマダニに咬まれることで感染し、高熱、血小板の減少、内出血などを引き起こす。韓国では致死率が約32%にも達する。レプトスピラは、感染動物の尿との接触や汚染された水や環境への曝露により感染し、高熱や筋肉痛、重症の場合は死亡することもある。
また、今回の調査では犬ヘルペスウイルスや犬コロナウイルスなど、ペットに関係する病原体もタヌキから複数確認された。ただし、狂犬病は検出されなかった。
これを受け、ソウル市は全国の自治体で初めて、野生のタヌキを対象にした10種類の人獣共通感染症と、イヌ科動物における主要13種の感染症に関する通年のモニタリングを本格的に実施する方針を示した。
この取り組みは、ソウル研究院が発表した「都心に出没する野生タヌキの実態調査」に基づいたもので、市域の約32%がタヌキの生息可能地域であり、25の区のうち24区(96%)で出没が確認されている。
また、保護されたタヌキの数も年々増加しており、2022年には63件だったが、2024年は117件と増加傾向にある。今月初めには、皮膚病で毛が抜け落ちたタヌキが陽川区一帯で相次いで発見され、市民の不安を呼んだ。
ソウル市では、野生動物保護センターの協力を得て、市内の公園や住宅街などで保護されたタヌキから検体を採取し、病原体検査だけでなく、病理解剖や組織検査も実施、病気の原因究明にも努めている。
(c)KOREA WAVE/AFPBB News
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