「コメというのは極めてセンシティブな作物なんです。業界を取り巻く政治家はもちろん、さまざまな業者も含めて魑魅魍魎のような世界だから、果たして進次郎にそれがさばけるかどうか……」
【写真】妻の滝川クリステルさんと幸せそうな表情をうかべる小泉氏
進次郎氏の農水相就任をこう不安視するのは、農水行政に精通した閣僚経験者だ。その理由をこう続ける。
「自民党の政治家には、農林族がいて利権を守っています。農政改革をしようとすれば、彼らが抵抗勢力となり、必ずぶつかることになる。石破(茂)総理の側近中の側近である森山裕幹事長は農水相も務めた農林族のドンです。その森山さんが、よく進次郎の起用を承認したなと思いました。森山さんからすれば、進次郎に任せて失敗させるのもいいだろう、お手並み拝見といったところじゃないですか」(前出・閣僚経験者)
そもそも今回の交代劇は、前任の江藤拓前農相が5月18日、佐賀市内での講演会で、「コメは買ったことがない。支援者の方々がたくさんコメをくださる。家の倉品庫には売るほどある」と発言したことが発端だった。これが失言として問題となると、「売るほどあるというのは宮崎弁的な言い回し」と苦しい弁明をし、「そんな宮崎弁はない」と宮崎県民も反発。火に油を注ぐ格好となった。
石破首相も、当初は江藤氏をかばい続投させようとしていたが、野党5党がまとまって江藤氏の不信任案を出す動きを見せた。少数与党の石破政権としてはこれに抗しきれず、急きょ江藤氏を更迭させ、進次郎氏の起用を決めた。
なぜ進次郎氏に白羽の矢が立ったのか。
「進次郎は第2次安倍内閣時代の2015年10月、自民党農林部会長に就任し全国農業協同組合連合会(JA全農)の改革をしようとしました。結局はJAと全面的にぶつかり、進次郎側が途中で腰砕けとなり、挫折した過去があります。ただ、農協改革をしようとする姿勢は石破首相とも考えが一致している」(同)
石破首相も2008年、麻生内閣で農林水産相に任命されたが、政権末期に麻生元首相に退陣を迫るなど政局となり、農政改革は道半ばで終わったという経緯がある。
そんな挫折もあり、石破首相は進次郎氏に改革を託したいという思いがあったのかもしれない。だが、前出の閣僚経験者はこんな不安を漏らす。