余命宣告を受けてから、「忖度なしの活動」を続け、今年1月28日に享年67で逝去した森永卓郎氏。
氏の最期の書き下ろし原稿と、亡くなる1カ月前に行ったインタビューによる“資本主義の闇”に切り込んだ『さらば! グローバル資本主義――「東京一極集中経済」からの決別』が刊行された。同書は発売前に大増刷が決まるなど、早くも話題を呼んでいる。
【話題の書籍】森永卓郎さん(享年67)が“資本主義の闇”に切り込み、「日本人が生き抜くための“答え”」を記した遺作『さらば!グローバル資本主義』
森永氏が最期に到達した「日本人が生き抜くための“答え”」とは――。
今回は、新刊を再編集したうえで、「高い家賃と少ない手取り」について森永卓郎さんの問題提起を紹介する。
■都心ワンルームマンション家賃が「信じられない値段」
いまの家賃相場は、都内23区の利便性のいいエリアでは、信じられないことに3畳とか4畳半程度の、人ひとりが生活するのに最低限の広さのワンルームマンションの家賃が7〜8万円することも少なくなりません。
初任給が(最近では上昇傾向にありますが)手取りで20万円程度(中小零細企業、非正規雇用)の若者にとって、それは大変な出費です。
そんな小さな部屋でも、都心で生活するために、若者は冷蔵庫も買わずに近くのコンビニを冷蔵庫がわりにしています。
そのためにさらに食費がかさみ、コンビニ弁当ばかりで野菜やビタミン不足になる。
このような不健康な生活を続けながら、早朝から深夜まで「やりがいのない仕事」で「巨大な組織の歯車」となって、会社や現場に縛りつけられている人も、決して少なくはないのです。
そんななかでiPhoneを買えば、場合によっては2年分割払い契約などとなる。
友達と飲みに行けば、都会の高い酒代を払わないといけないことも少なくない。
たまの休日にデートすれば、高い食費、交通費、入園料などを払わないといけない。おちおちデートもできません。
彼女彼氏がいるならばまだましで、若者たちの結婚率は下がる一方で、結婚しないから出産もない。
2023年の出生数はついに80万人を割りました。戦後のベビーブームのときの約3分の1です。
これでは日本の人口減少の下り坂曲線も急角度になる一方で、ゆるまることも期待できません。
■「リモートワーク」も揺り戻しで減ってきている現実