「斎藤知事に愛想尽きた」兵庫県庁離れ加速 17年ぶり自主退職4割増、他自治体に転職も


【ひと目でわかる】兵庫県庁の自己都合退職者数 前年度から大きく増加

兵庫県人事課によると、教育委員会や県議会事務局などを除く知事部局の昨年度の自己都合退職者は103人に上り、前年度(74人)から大きく増えた。退職者の内訳は技術職が56人、事務職が47人。理由は50人が転職、親の介護などの家庭事情が37人と続いた。

自己都合退職者が100人を超えたのは、行財政改革の一環で給与を削減した平成19年度以来17年ぶり。その後は30~80人台で推移していた。

増加の背景要因として指摘されるのが、文書問題に端を発する一連の県政の混乱だ。

たとえば、県庁への昨年度の電話相談件数は約1万2000件で、前年度の4倍に達した。相談内容は斎藤氏に対する批判の一方で、斎藤氏を支持したり、疑惑を追及した県議会調査特別委員会(百条委員会)の姿勢を非難したりするものも相当数あった。賛否の渦中にほうり込まれた形の現場の複数の職員からは「的外れな暴言や叱責の言葉に気持ちが萎える」「仕事に誇りが持てなくなった」といった声が聞かれた。

「優秀」との定評があり、将来の幹部候補といわれた中堅職員も他の自治体へ転職した。ある県幹部は「ショックだった。県にとっては大きな損失だ」と嘆いた。

■退職は知事部局の1割未満も…漂う「閉塞感」

県庁内に漂うのは、ある種の閉塞(へいそく)感だ。文書問題を検証した第三者委員会は、告発者捜しを指示し、特定した上で懲戒処分とした斎藤氏の対応を公益通報者保護法違反と断じたが、斎藤氏は「対応は適切だった」と事実上受け入れなかった。

斎藤氏が会見で言及した同法の解釈について、所管する消費者庁は4月に「公式見解と異なる」と指摘。今月22日には通報者保護の体制を徹底するよう求める通知を全国の自治体に発出するなど兵庫発の問題はなお波紋を広げている。

自己都合で同県を退職した元職員の一人は「知事の議会答弁や会見での発言を聞いていて愛想が尽きた」と率直に語った。



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