新卒で初めて定期券を会社から支給されたとき、「休日に遊びに行くときにこの定期券を使っていいの?」と疑問に思ったことはありませんか? 通勤以外の利用がルール違反になるのではないかと心配する方もいるでしょう。
この記事では、定期券の私的利用がどのように扱われるのか、法的な観点や注意点を含めて、詳しく解説します。
定期券は通勤に必要な費用の補助として支給されている
会社が支給する定期券は、通勤に必要な費用の補助という目的があります。
法的には通勤手当の支給義務はなく、企業が独自に制度を設けているため、その支給方法もさまざまです。主に、定期券そのものを現物で渡すケースと、定期券代相当額を給与と一緒に現金で支給するケースに分かれます。
支給された定期券は給与と同じ扱いになるため、使い方に明確な法律上の制限はないのが実情です。したがって、通勤区間内であれば休日に使ったとしても会社に追加のコストはかからず、会社側に損害が発生しない以上、原則として「違法ではない」とされる可能性が高いでしょう。
■鉄道会社側の利用制限はない
鉄道会社が発行する通勤定期券も「通勤用」と記載があっても、利用を通勤に限定しているわけではありません。したがって、プライベート利用を理由に、鉄道会社側から制限されることもないといえます。
休日に通勤定期券を使っても違法ではない
法律的には「休日に通勤定期を使うこと」自体に違法性はありません。例えば、通勤定期の区間内にある友人の家に遊びに行くといったケースでは、会社にとってコストの増加はなく、実害がないためルール違反とはされないのです。
■通勤災害に注意
通勤時の寄り道は、通勤災害に注意が必要です。通勤中の事故も労災にあたり、負傷や疾病、傷害または死亡したときには労災保険の給付金を受け取れます。ただし、通勤の行き帰りで寄り道をすると、それ以降の移動は通勤にはあたらないでしょう。
・同僚と居酒屋へ行った
・趣味・娯楽のため買い物に行った
・英会話などの習い事に行った(公共職業開発施設での職業訓練は除く)
このような寄り道を行ったときは、たとえもとの通勤経路に戻ったあとで事故が発生しても、労災認定を受けられない可能性があるため注意が必要です。一方、日常生活で必要となる以下のような寄り道は、最小限のものであれば、通勤経路に戻ってからのことについては労災が認められます。
・日用品の購入(飲食料品・衣料品・家庭用薬品など)
・職業訓練や教育訓練を受ける
・選挙権の行使やそれに準ずる行為
・病院などで診察・治療を受ける