親子同時襲名「尾上菊五郎」が11歳の息子「菊之助」へ伝えたい言葉。歌舞伎役者として生きる《宿命》、親子で乗り越える葛藤の日々


【写真】八代目尾上菊五郎さんの子ども時代、1984(昭和59)年2月、歌舞伎座『絵本牛若丸』より

■息子、六代目菊之助へ

 新菊之助はこの4月から小学校6年生。学校が楽しくてならないようです。アウトドアクラブに入ったり、仲のいい友だちとの学校行事を心待ちにしていたり。

 それが、小学校最後の1年、なかなか学校に行けなくなってしまう。最後の運動会、最後の修学旅行、さまざまな〝最後〞に参加できない辛さがあるでしょう。

【写真】父と息子の絆、受け継がれる伝統。これまでの舞台を振り返る(7枚)

 実は手書きの「襲名カレンダー」を作ったんです。〝あと何日〞とわかるように。でも、一度彼が爆発した時に、ビリーッと破かれてしまって。2人で大喧嘩。

 妻は芝居のことについてはいっさい入ってこないので、「ドラマみたい」と後でさらっと言っていましたが、本当は一番心配してくれていると思います。歌舞伎役者の娘として妻として母として、全てわかって見守ってくれていることが心強いです。

 爆発するのも当然で、それを受け止めながら2人で前に進んでいきたいと思っています。

■私の子ども時代

 襲名披露の最初は『京鹿子娘道成寺』と『弁天娘女男白浪』。弁天小僧は物心ついた時から「いつかやりたい」と言っていたので、嬉しさも大きいのではないでしょうか。「稲瀬川勢揃い」の台詞を小さい頃からそらんじていましたから。



Source link